たとえば上院である連邦参議院には、州政府の代表が議席を持つ。つまりAfDがSA州で政権に就けば、初めてAfDが連邦参議院に議席を持つ。
このようにして将来AfDが連邦参議院で議席を増やせば、重要な法案をブロックできるかもしれない。さらに、連邦参議院のメンバーは、安全保障に関する機微な情報に接する立場にある。ドイツでは「親ロシア政党AfDが連邦参議院に議席を持った場合、国防省や諜報機関の機密情報が、同党を通じてプーチン政権に漏れるかもしれない」という懸念が出されている。
メルツ首相の支持率が10%に低下
CDUでは「SA州とMV州での選挙結果は、中央政界におけるメルツ政権に対する不満の表れだ」として、首相の責任を問う声が強まっている。SA州ではCDUの得票率は前回(2021年)の選挙の37.1%から17.2%に激減した。MV州ではCDUの得票率が前回の13.3%から4.9%に下落し、州議会での議席を失った。ドイツでは得票率が5.0%に達しない政党は議会から締め出される。
4.9%は、CDUが1945年6月に結党されて以来、州議会選挙での最低の得票率だ。公共放送局ARDが10月1日に公表した世論調査によると、「メルツ氏の仕事ぶりに満足している」と答えた回答者の比率は10%に減った(26年5月には13%だった)。歴代の首相の中で、最低の支持率だ。
メルツ氏は2つの選挙後記者会見に臨み、憔悴した表情で「第二次世界大戦後、我が党にとって最悪のデザスター(Desaster:破局)だ。旧東ドイツだけではなく、ドイツで何かが変わった」と述べた。
ドイツの政界では、全国的に影響力が強い政党を「国民政党(フォルクスパルタイ:Volkspartei)と呼ぶ。過去においてCDUは社会民主党(SPD)などとともに国民政党と見なされてきた。だがメルツ首相は、今回の敗戦後、「CDUはもはや完全な国民政党と言えなくなった。少なくとも部分的にしか、国民政党ではない」と述べた。
つまり旧東ドイツにおいては、CDUは国民政党の地位を失った。SPDの得票率は、SPDの現職首相の人気の高さの故に、MV州では35.5%だったが、SA州では9.3%しか取れなかった。SPDの昨年の総選挙での得票率は16.4%に留まった。これもSPD結党以来、最低の得票率だ。

