CDUおよび姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)とSPDの連邦議会選挙での得票率の合計は、1970年代には90%を超えていた。昨年の連邦議会選挙では、その合計はわずか45%となった。
それでも続投する理由
このためCDU内部では「2つの州での選挙結果は、有権者がメルツ政権に落第点を与えたことを示す。もはやメルツ首相では、選挙に勝てない」という声が出ている。メルツ氏の不人気の原因は、政策を頻繁に変えることや、市民感情に十分に配慮しない失言だ。
たとえば同氏は、25年の連邦議会選挙前には「緊縮財政のための憲法規定(債務ブレーキ)を変更しない」と言っていたが、選挙に勝った途端に前言を翻してインフラ投資と防衛費のために国債増発を可能にし、積極財政路線に切り替えた。また、SA州議会選挙後、ある演説で「現在70歳~80歳の市民は繁栄と安定しか経験していない」と発言し、ドイツ統一後に国営企業が閉鎖されるなどして、失業禍に苦しんだ旧東ドイツ市民を怒らせた。この夏に行った閣僚の変更でも、十分な協議や根回しを怠り、多くのCDU党員の怒りを買った。
ただしメルツ氏はダブル敗戦後も、続投する姿勢を崩していない。CDU内部にも、ただちに首相退陣を求める声は上がっていない。その理由は、メルツ氏が政権にとって最も重大な課題である公的健康保険、公的年金保険、公的介護費用保険の3つの制度の改革を進めているからだ。
社会保障制度改革は、不況に苦しむドイツの製造業界の国際競争力を回復する上で避けて通ることができない。メルツ政権の最重要課題の一つだ。
ドイツの社会保険料は、企業と社員がほぼ半分ずつ負担する。だが社会の高齢化と少子化のために、これらの社会保険制度の赤字は年々増えている。

