田部康喜のTV読本

2016年8月28日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 第20週(8月15日~20日)「常子、商品試験を始める」は、「暮しの手帖」の目玉企画となって同誌の代名詞ともなる、商品試験にとりかかるドラマの大きなヤマ場である。

 一般家庭の台所を写真とともに紹介しながら生活を考える企画で、たまたま15年前に別れた星野(坂口健太郎)の家を訪れる。娘の青葉(白鳥玉季)がさしていた真っ赤な傘の色が、雨でしたたって彼女のワンピースを汚してしまう。

 戦後の暮らしのなかで、人々は節約をしながら買い物をした商品が粗悪で困っているのではないか、と常子は思う。そうした商品の試験結果を雑誌で紹介してはどうか、という企画を思いつくのであった。

女性たちの共感呼ぶ

 編集長の花山も乗り気になって、第1号は石鹸を取り上げることになる。商品の成分は外部の研究機関に依頼する。しかし、雑誌に記事を入稿するぎりぎりの段階になって、その研究機関から商品名を出すのは止めるように要請が入る。研究機関もそうしたメーカーと取引があったからである。そして、商品名はアルファベット表記になる。

 ここから経営者として、常子は大きな決断を迫られる。商品試験を自前でやるには人材と費用が大きく経営を圧迫する可能性がある。しかし、常子は安定した発行部数を維持するよりも、読者が必要とする試験に踏み切るのである。

 今回の朝の連続テレビ小説の視聴率が高いのは、戦後の苦境と高度経済成長時代を乗り切ってきた女性たちの共感が深いからだろう。

 「あなたの暮し」編集部には、女性編集者たちの群像がある。現代の企業社会のなかで組織を支えている女性たちの共感も呼んでいることだろう。

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