2024年12月7日(土)

田部康喜のTV読本

2016年8月28日

 女性であるがゆえに、素質がありかつ業績があがっても昇格ができない。いわゆる「ガラスの天井」である。大企業でも活躍の場を見出せるようになった女性たちは、いまもこの天井を突き破ろうとして果たせぬ悩みを抱えている。

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 ドラマは世相を映す鏡である。たとえそれが現代を描くものではなく過去にさかのぼろうとも。

 そうした眼で眺め見れば、今夏のシリーズはなんと女性が主役のドラマが多かった。

 NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」は佳境に入っている。広告代理店の女性部長で産休明けの女性を主人公にした「営業部長 吉良奈津子」(フジ)、フジ系列で放送さている「ノンママ白書」(東海テレビ)も広告代理店の部長でこちらは離婚経験者の設定である。

 ドラマは観客に生きる勇気を与える、一瞬のカタルシス(精神の解放と浄化)である。演劇も映画も、そしてドラマも変わらない。

 「とと姉ちゃん」のストーリーから「ガラスの天井」はまったく感じない。主人公の小橋常子(高畑充希)はいうまでもなく、「暮らしの手帖」を創刊した大橋鎭子がモデルである。ドラマの「あなたの暮し」編集長の花山伊佐次(唐沢寿明)は、戦後を代表する編集者である花森安治である。


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