2025年5月16日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年4月18日

 ニューヨーク・タイムズ紙は、イスラエルのガザ攻撃再開後、ガザ北部で反ハマス・デモが起き、一部の住民はハマスの追放を求めているという解説記事を3月25日付で掲載している。要旨は次の通り。

イスラエルが空爆したガザの民家(ロイター/アフロ)

 3月25日、珍しいことに、ガザでパレスチナ人達はハマスに対して抗議デモを行った。1年以上続くイスラエルとの壊滅的な戦闘の後、彼らはハマスが武力で支配していることへの批判を叫んだ。北部ガザのベイト・ラヒヤの町の半壊した通りで、一部の人々は戦闘の継続に対する抗議を叫んだが、他の人々はハマスに出て行けと叫んでいた。

 ガザの住民は、表向きは多くの人々の死、破壊、飢餓についてイスラエルを非難しているが、一部の人々はハマスに責任があるとして、ハマスが抗戦を続け、停戦と引き換えにガザの支配を諦めないことを非難している。このような一部の人々の怒りは、イスラエルがハマスに対して残された人質を解放するよう圧力を掛けるために2カ月間の停戦を破棄してガザへの攻撃を再開してから顕在化した。

 2007年にハマスがガザを完全に支配して以来、ハマスは批判者を拘束し、ハマスの政策に反対する抗議デモを蹴散らすことで反対を容赦無く弾圧してきた。18年のヒューマンライツ・ウオッチの報告書は、ハマスが恒常的に反対派を拘束し、拷問していると非難している。

 衝突が始まって以来、一部のガザの住民はハマスとハマスの指導部に対する批判を密かにこぼしていたが、少数の人々は大っぴらにハマスとその指導部を批判していた。しかし、昨年、ガザの内部に止まっている数少ない著名なハマスの批判者であるアミン・アベド氏は、ハマスの治安部隊に襲われハンマーと金属棒で殴打されたと述べている。

 イスラエルが組織的にハマスを壊滅させようとしているにも関わらず、依然としてハマスは数千の戦闘員を指揮していると信じられており、1月に始まった休戦期間の間、ハマスは、ガザ内部でのその支配を再構築しようとした。あるガザの住民は、どのような停戦であっても、ハマスが居座り続ける限り、新たな衝突は不可避だと懸念している。

 23年10月7日のハマスのイスラエル奇襲の前にガザを去ったガザ地区北部・ベイト・ラヒヤの反ハマス活動家であるヘラール・ワルシャガ氏は、「ハマスがいなくならない限り、次の衝突が起きるのは時間の問題だ。しかし、我々は戦闘や破壊、殺害には飽き飽きしている」と述べている。

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