2025年6月21日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年4月18日

 しかし、ハマスは、単なる武装組織ではなく、パレスチナにイスラム原理主義に基づく独立国家を樹立するというイデオロギーでもあり、イスラエルがガザのパレスチナ人を迫害し続ける限り、消滅することは無いであろう。しかも、今回の衝突で5万人以上のパレスチナ人が亡くなっており、ガザのパレスチナ人の間でイスラエルに対する強い復讐心があることは間違い無く、いずれガザのパレスチナ人がイスラエルに対する復讐を試みると思われる。

イスラエルの〝計画〟

 最近、イスラエルのカッツ国防相はガザの占領を示唆している。イスラエル側も、現在抵抗しているハマスの勢力を殲滅しても、いずれガザのパレスチナ人からの復讐は必至と考えているはずだ。

 これまでの壁で囲って、通信傍受やドローンで外から監視すれば良いというやり方ではハマスの奇襲を防げなかったことから、ガザ全体を占領しなくてもガザを内部から監視するための拠点を複数占領し続けようとする可能性は高く、さらに、トランプのガザ管理プランの可能性も排除していない可能性もある。

 トランプがスーダンやソマリアにガザ住民の受け入れを打診しているとの報道もあるが、3月28日、米情報誌AXIOSは、イスラエルの情報機関のモサドがガザの住民の移住先をアフリカやアジアで探していると報じている。エジプトやヨルダン等の隣接国では報復は必至であるのでどこか遠くに追放しようと考えているのかも知れない。

 現在、中東に限らず国際社会は、トランプ政権の誕生をきっかけに弱肉強食のジャングルに急速になりつつある。

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