その昔、与謝野晶子人気が沸騰したころ、新生児に晶子と名前をつけた。後に戸籍をとると昌子となっていた。定年間際の戸籍係が昌子としてしまったという逸話を聞いたことがある。読みは念願通り“あきこ”であったが、正しく読める人はいなかったそうだ。幸せな人生を全うしたとのこと。
日本のUNIQLOも、同じような逸話がある。本来ユニーク・クロージングとして香港に登記した際、CをQとしてしまったそうだ。幸運の女神がこれでほほえんだのかも知れない。元気のいいオーナー企業なので、創業者でオーナーがOKならこれでいける。
オーナー企業は、即断即決で判断できるし、戦線拡大も縮小も思いのままだ。社名も同様だ。キョウデンという会社がある。今は上場企業になっているが、社長がいろいろなビジネスをしたあと、今日から電気屋だと言ったことからキョウデンとなったようだ。
シャルロッテ
韓国のいくつかの財閥もこの伝で名前を決めている気がする。特にお菓子のロッテは韓国のお菓子の老舗ヘッテをヒントにした気がしてならない。ソウルのロッテ百貨店に行くと、創業者の言葉が金看板にして埋めてあった。若きウエルテルの悩みのシャルロッテからとったとしている。だとすれば社名はシャルロッテとなるはずだ。かりに安直選びでロッテとなったとしても、トップブランドとして大成功しているので、笑い話で済むはずだ。しかし、今回の家族騒動は笑いごとではない。
昨年来、家族間の争いで世間を騒がせているロッテに対して韓国側では検察が動いた。日本ではガムやチョコレートのロッテも韓国では財閥と呼ばれビジネスは多岐にわたっている。ロッテホテルや百貨店・免税品店は日本からの観光客もお世話になることも多い。コンビニ、飲料、石油化学、果ては建設まである財閥だ。日本では上場していないが、韓国側では多くのロッテグループ企業は上場して株を公開している。
創業者で高齢の父のもと兄弟仲良く、兄は日本ビジネス、弟は韓国ビジネスを成功させてきた。しかし昨年、創業者は兄ではなく一歳違いの弟を後継者に指名した頃から、軋みが始まった。
当初は兄弟の争いからの株価低迷は一種の相続対策といううがった見方も出来たが、本格乱闘となり収拾がつかない。自殺者もでて結末が見えなくなってきている。ロッテだけではなく、韓国の財閥のチャンピオンであるサムスンも最近いくつかネガティヴなニュースを提供して財閥ネタで話題は尽きない。
漢字で書けば日本と同様に財閥となる。ロッテの場合、日本では4000億円程度の売り上げだが、韓国サイドでは8兆円規模で、財閥と呼ばれても何ら不思議ではない。日本で財閥というと独特の響きがある。終戦直後財閥解体がなされ、三菱(岩崎)、三井、住友、安田などの財閥ファミリーは一応、表舞台から消えた。株式も持ち合いや個人株主により吸収され急場をしのいだ。そもそも10大財閥、15大財閥は戦争協力者として位置づけで名前の使用も禁止されてしまった。三菱銀行は千代田銀行となり、安田銀行が富士銀行と名前を変えた。富士の場合、変名後に業容がむしろ拡大したため、近年みずほ銀行となるまで、富士で通したがむしろそれは例外で、多くはそれぞれ元の名前に戻している。