カンテレ制作の「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(火曜夜9時)は、直木賞作家の金城一紀が原案・脚本の警察ドラマである。刑事モノの謎解きを超えて、権力の闇をあぶりだす異色の作品に仕上がっている。
金城の小説は、直木賞受賞作の半自伝的な作品『GO』をはじめ『映画篇』など、さまざまな映画がストーリーにからんでいる。シルベスター・スタローンやブルースリー主演のアクション映画のほうが、フランス映画よりも主人公たちは好んでいる。
ネットやスマホが謎解きの小道具に
公安機動捜査隊特捜班の班長は警部の吉永三成(田中哲司)、彼の下に4人の巡査部長の部下として、元自衛隊員の巡査部長・稲見朗(小栗旬)と公安部外事課出身の田丸三郎(西島秀俊)の捜査コンビに加えて、元爆弾処理班で独特の嗅覚を持つ樫井勇輔(野間口徹)と元ハッカーのデータ分析のプロフェッショナルの大山玲(新木優子)がいる。彼らは、警察庁警備局長の鍛冶大輝(長塚京三)の指揮下にある。
ドラマは、テロ集団と化した宗教団体や、テロ集団「平成維新軍」と特捜班との戦いが縦糸となって展開していく。第6話(5月16日)は、11年前の地下鉄の無差別爆破テロを実行した容疑者のひとりである、里見修一(山口馬木也)が、茅場町のコンビニ強盗があった監視カメラに、たまたま映っていたことから捜査が始まる。
現代の推理ドラマは、ネットやスマートフォンを謎解きの小道具として巧みに使っているかどうかも、ひとつの見せ所である。
元ハッカーである大山(新木)がいう。「班長見つかりました」と。
それは、用賀のコインパーキングのそばを歩いている里見の姿だった。
大山 「奥の手を使って。昔の仲間に頼んで集めた画像を認識ソフトに入れた」
吉永 「同窓会もそこそこにしろよ」
大山「ワナを仕掛けてみましょうか? 追われている人間はインターネットのサイト検索でしょっちゅう自分の名前を検索しているといいます。巨大掲示板に、里見の目撃情報を書き込んで反応をみてみましょう。そのIPアドレスをたどれば里見に行き着くかもしれない」
大山の書き込んだ情報に、4人は同じ地点のIPアドレスから書き込まれていた。「古川健康食品ビル」である。
稲見(小栗)と田丸(西島)のふたりは、新木から送られた位置情報をてがかりにして、そのビルに車でかけつけ、里見が乗った車を追跡する。里見の車はショッピングセンターの駐車場に入る。