今月初旬、台湾へウインターリーグの取材に行ってきた。英語の大会名はアジア・ウインター・ベースボール・リーグ(AWB)、中国語による正式名称は「亞洲冬季棒球聯盟」。主催は中華職業棒球大聯盟(CPBL)で、台湾の政府当局が協力しており、現地ではテレビで生中継されている本格的な大会だ。日本ではプロ野球(NPB)の若手の修行の場と見られているが、実はなかなかレベルが高く、日夜白熱した好ゲームが繰り広げられている。
NPBからは広島、日本ハムを除く10球団の若手48人が東軍(イースタン)、西軍(ウエスタン)の2チームに振り分けられて参加。監督は東軍が巨人・川相昌弘二軍監督、西軍がソフトバンク・大道典良二軍打撃コーチが務めている。この2チームに地元の台湾プロ選抜(CPBL中職聯隊)、韓国プロ選抜(KBO韓職聯隊)、世界野球ソフトボール連盟選抜(WBSC歐美聯隊)、日本の社会人選抜(JABA日本社會人聯隊)を加えた計6チームで優勝を争う。先月25日から総当たりのリーグ戦が行われ、上位4チームが今月15日からの決勝トーナメント戦に進出し、今年の「アジアの冬季チャンピオン」を決めるのだ。
いまのところ、NPBの2チームのどちらかが優勝できるかどうかは望み薄である。上位4チームにも食い込めないかもしれない。公式サイト〈亞洲冬季棒球聯盟全球資訊網〉http://winter.cpbl.com.tw/standing/season.htmlの成績表を見ると、同じ日本から参加している社会人選抜のほうがよっぽど健闘している。「とくに台湾、韓国が非常に手強いですね」と、川相監督はこう指摘している。
「台湾は去年、この大会で最下位に終わったため、今年はもっと優秀な選手を集めていると聞きました。彼らは技術もモチベーションも非常にレベルが高い。実際、台湾との初戦(11月25日)では九回2死までリードしていたのに、そこからウチが逆転負けしてしまいました。また、試合前に敵に情報を与えないようにと考えてか、彼らは同じアンダーシャツや半パン姿で練習している。初めて対戦するぼくたちには誰が誰だかわからないから、なかなか対策が立てられない。日本はシーズン中と同じようにユニフォームで練習していますが、そんなところひとつ取っても、台湾の勝利への執念や貪欲さのようなものを感じるんです」