CPBLでは大会の演出にも力を入れていて、週末にはチアガールがグラウンドでダンスを披露。女子中学生が始球式に登場し、どういうわけか背後のショートにボールを投げ、スタンドの観客を笑わせていた。
ちなみに、試合前の練習でユニフォームを着ていないのは韓国も同様だ。このチームの最大の特長は選手26人中、半分以上の16人が兵役に就いている「警察野球団」の選手であること。韓国球界に詳しい関係者がこう解説してくれた。
「ご存じの通り、韓国の成人男性は兵役義務を課せられていて、どれほどのスター選手であっても一定期間は軍隊に入らなければならない。その間にレギュラーを失ったり、力が落ちたりするのを嫌がって、不正に兵役逃れをしようとする選手も後を絶ちません。そこで、兵役中でも野球ができるようにとつくられたチームが、この警察野球団なのです。韓国ではファームのフューチャーズ・リーグに入っていて、いつも首位を走っているほどの強豪ですよ」
彼らは言わば、球界復帰を目指し、選手生命の維持をかけてプレーしているのだ。日本との試合では、3日に朴峻杓(パク・ジュンピョ)が西軍を完封し、7日には洪性民(ホン・スンミン)が東軍を7回無失点に抑えて完勝。この朴と洪はハーラーダービーと防御率でトップを争っている。また、この警察野球団には、2015年にロッテで9勝を挙げた李帶溵(イ・デウン)も所属。背番号がロッテ時代と同じ38なのが、日本人としてはちょっとうれしい。
日本で目立っていたのは東軍のDeNAの1年生、内野手の佐野恵太(16年ドラフト9位、明大)だろう。佐野は元ソフトバンク三軍監督で、現役時代に首位打者になった佐々木誠氏の甥。リーグトップの4本塁打を放ち、打率も3割台をマーク。3日の台湾戦では八回から捕手として登場し、リリーフ陣をリードして勝利に貢献した。この試合では同期のチームメート、19歳の京山将弥(同4位近江高)も先発して6回5安打1失点の好投を見せている。
リリーフに回っていたヤクルト・寺島成輝(同1位・履正社高)も気になるところ。私が見た台湾戦では七回1イニングだけ登板、どうにか無失点で抑えていたとはいえ、大量7点のリードがありながら、ヒットと四球2個で満塁のピンチを招いていた。来年からヤクルト監督に復帰する小川淳司は寺島をリリーフで起用したいのだろうが、本人がこの台湾でアピールできるだけの結果を残せるか。
そうした中、スタンドで一番声援を送られていたのは1年目の吉川尚輝(同1位、中京学院大)、5年目の柿沢貴裕ら巨人の選手である。三塁側スタンドに陣取る台湾人の若いファンが、高橋由伸監督や坂本勇人のレプリカ・ユニフォームに身を包み、日本の外野席の私設応援団と同じ鳴り物入りで声援を送っていた。彼らにはさらなる奮起を望みたい。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。