2024年4月20日(土)

赤坂英一の野球丸

2018年2月28日

 それだけの猛練習の甲斐あって、山田哲人以外の主力をスタメンに並べた21日の巨人との練習試合では7点を挙げて大勝。巨人のエース・菅野智之からヒットを打った青木をはじめ、鋭いスイングをしている打者が目立った。が、試合後に「みんな振れてますね」と石井コーチに声をかけると、「まだまだ」と首を振って、巨人のキャンプ地・沖縄セルラースタジアム那覇だったにもかかわらず、三塁側ファウルグラウンドで居残りスイング練習を敢行。その上、浦添に帰ってからも夜まで延々とロングティーをやっていたという。

無駄や切れ目のない練習

 …という、と伝聞形式で書いているのは、私はその夜原稿を書かなければらなず、直接自分の目で練習を見てはいないからだ。振り返れば、石井コーチが初めて広島の打撃担当となった2015年秋季キャンプもそうだった。練習メニューの合間に無駄や切れ目がなく、夜間練習がない代わりに終了が遅かったので、とても最後まで見ていられない。談話を取るのすら一苦労だったことを思い出す。

 果たして、広島流(正確には石井流だが)打撃練習を導入したヤクルトは、昨季の覇者にして石井コーチの古巣、広島にどこまで食い下がれるのか。参考までに、昨季のヤクルトと広島の対戦成績を見ると、広島の17勝7敗1引き分けと広島が圧倒している。だが、ヤクルトが優勝した15年は、逆にヤクルトの14勝11敗だった。

 あれから僅か3年、ヤクルトの主力打者は山田、バレンティン、川端慎吾、畠山和洋、雄平、中村悠平と、それほど大きく変わってはない。ここ2年の低迷は川端、畠山ら故障者の続出に泣かされたからでもある。広島2連覇の礎を築いてヤクルトにやってきた石井コーチが、〝愛弟子〟の東出コーチが率いる広島打線とどんな戦いを繰り広げるか。

 見方を変えて言うなら、「地方の大企業」広島の業績をアップさせた〝石井方式〟が、「都会の中堅企業」ヤクルトにも通用するのかどうか。ビジネスマンの野球ファンも大いに注目していただきたい。

  
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