2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年4月30日

 次期国務長官に指名されたポンペオCIA長官は、3月に北朝鮮を極秘裏に訪問し金正恩と会談したと報じられ、米朝首脳会談をはじめとする直近の北朝鮮政策のカギを握る人物として注目されている。同氏は、4月12日、上院外交委員会の国務長官指名公聴会に臨んだ。まず、議会側に提出された書面証言の北朝鮮政策に関連する部分は、概要、以下の通りである。

(iStock.com/DAJ/Sergey_Peterman/-1001-/Wavebreakmedia Ltd/Viktorcvetkovic)

 北の核を除去するために外交努力が進められている。国務省のチームにとり、この数十年来の脅威を解決することは、最重要の外交的タスクである。国務省は、北との関係を絶ち、対北制裁を科するべく、世界を結集することに成功してきた。しかし、トランプ大統領の金正恩との会談を支持することを含め、やるべき外交的な仕事はまだ多く残っている。北を非核化し米国を北の核の脅威の下に置かれるのを阻止するための大統領のコミットメントを背景に、米朝首脳会談は行われる。私は、これまでの北朝鮮との交渉についてのCIAの歴史を読み、我々は過去の過ちを繰り返さない自信がある。トランプ大統領は、交渉のテーブルでゲームをする人物ではない。そして、私もそうである。

出典:Mike Pompeo,‘Statement for the Record before the U.S. Senate Committee on Foreign Relations’(U.S. Senate Committee on Foreign Relations, April 12, 2018

 上記書面証言では、トランプ政権による北朝鮮への「最大限の圧力」作戦が功を奏し米朝首脳会談に至ったことを示唆し、北の非核化への外交努力の重要性を説くなど、抽象的なことしか述べられていないが、ポンペオは、質疑応答で重要な発言をしている。

 第一に、ポンペオは、北朝鮮のレジームチェンジは考えていない、と明言した。そして、「北朝鮮の指導者は、体制の存続、そのための手段や保障措置は何かを考えているのであろう」と述べている。なお、ポンペオは、昨年「金正恩体制を核システムから切り離し得る」と述べ、レジームチェンジを示唆するものと指摘されたことがある。

 第二に、米国にとっての北の核のリスクの評価に関する発言である。The Atlantic(電子版)は、ポンペオは「首脳会談の目的は、北朝鮮が核兵器によって米国にリスクを与えるための努力から完全かつ検証可能な形で手を引く合意の条件を整えることである」と述べた、と報じている(‘The Most Revealing Moment in Mike Pompeo's Confirmation Hearing’, the Atlantic, April 12, 2018)。これは、米国に到達し得るICBMと、そうでない中短距離ミサイルの取り扱いを区別することを示唆しているとも受け止め得る。


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