2024年12月23日(月)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2018年4月18日

 今回のテーマは「金・トランプ両氏の相性」です。金正恩北朝鮮労働党委員長は米朝首脳会談に備えて、中朝首脳会談を行うなど積極的に外交を展開しています。ドナルト・トランプ米大統領も5月ないし6月上旬開催予定の米朝首脳会談に強い意欲を示しています。会談は一気に現実味を帯びてきました。

 そこで本稿では、金・トランプ両氏の心理的な側面から米朝首脳会談の行方を探ってみます。

恐怖とスキンシップ

平昌五輪に現れたそっくりさんの2人 (Photo by Carl Court/Getty Images)

 金委員長とトランプ大統領の2人には、類似した行動パターンが存在します。AI(人工知能)を使って金委員長の言葉を解析しますと、イルクン(幹部)に対して警戒や嫌悪を示す表現を使用している点が明らかになりました。金氏は、特に自分の地位を脅かすナンバー2を警戒し、恐怖で幹部を管理しています。一言で言えば、「恐怖による統率」です。実際、叔父の張成沢(チャンソンテク)氏を粛清しました。

 その一方で、金委員長は青年や科学者には「鍛える」「任せる」「教育する」など鼓舞する言葉を用いており、それらに彼らを育成するという同氏の強い意思をみることができます。同氏は娯楽施設を訪問したり、市民と記念撮影をして関係づくりにも熱心です。

 さらに、金氏は靴やパン、タイヤなどの工場視察をして、自ら現地指導を行い、ここでも市民との心理的距離を縮めてスキンシップを図っています。同氏は製造業を重視し、「世界水準」「世界的だ」「世界に」といった言葉を発して、製品の質の改善を促しているのです。

 要するに、金氏は幹部には恐怖心、青年や科学者には親しみやすさ、という使い分けを行っているといえます。


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