今回のテーマは、「北朝鮮問題とロシア疑惑」です。現在、米国社会で関心が高まっている外交・安全保障問題について、下院外交委員会及び監視・政府改革委員会に所属するジェリー・コノリー下院議員(民主党・バージニア州第11選挙区選出)に、2月26日(現地時間)、ワシントン事務所でインタビューを行いました。
本稿では、まずコノリー議員を対象にしたインタビューの内容を紹介します。次に、首都ワシントン郊外で2月21日から同月24日まで開催された保守強硬派の政治集会「米政治行動委員会(CPAC)」年次総会に参加したトランプ支持者にも取材をしましたので、彼らと同議員の北朝鮮問題並びにロシア疑惑に関する意見を比較してみます。
コノリー議員に聞く
Q ずばり「米朝開戦」はありますか?
A 北朝鮮が米国本土を狙った挑発的な行動に出ない限り、トランプ大統領は北朝鮮を攻撃しないでしょう。米国が先制攻撃を行なえば、北朝鮮は韓国と日本に反撃をして、同盟国に犠牲者が出ます。
Q 現時点における米議会の雰囲気は開戦ですか? それとも非戦ですか?
A 米議会は米朝開戦を考えていません。
Q どうしてこれまで米国は、北朝鮮の核開発を止めることができなかったのですか?
A ブッシュ政権の8年間に責任があります。クリントン政権は食糧支援を含めた人道支援を行いましたが、ブッシュ政権は北朝鮮に対してクリントン政権とはまったく逆の政策をとったからです。
Q なぜこのタイミングで米国は、核戦略を変更したのですか?
A 北朝鮮への牽制に加えて、ロシアや中国の核兵器に対する懸念があるからです。米国の核兵器は老朽化しており、性能を高める必要があります。敵国に対して、小型核兵器で迅速に対応しなければなりません。
Q 米国では11月に中間選挙が行われます。トランプ大統領は支持率を高めるために、中間選挙の前に金正恩北朝鮮労働党委員長と会談を持つでしょうか?
A トランプ大統領の心理状態を理解することが重要です。彼は自分が常に勝者であり、取引の達人として見られたいのです。トランプ大統領が金委員長と会談を行うという大胆な行動に出る可能性はありますが、私はその可能性は極めて低いとみています。というのは、リスクが高いからです。会談を行っても北朝鮮が核放棄をしなかった場合、トランプ大統領は米国民から敗者であり、取引の達人ではないと認識されてしまうからです。