2024年6月15日(土)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2018年3月2日

Q 37ページにわたるFBIの起訴状によって、ロシアが米国の民主主義に介入したことが立証されました。しかし、トランプ大統領は、一貫してプーチン大統領を批判しません。どうして批判しないのでしょうか?

A CIA、FBIを含めた17の米情報機関が、ロシアが2016年米大統領選挙に介入したと結論を下しました。トランプ大統領が指名したコーツ米国家情報長官とポンぺオ中央情報局(CIA)長官は、ロシアによる秋の中間選挙への介入を懸念しています。トランプ大統領は、一般教書でロシア介入について一言も触れませんでした。反ロシア色が強いはずの米政治行動委員会での演説でも、民主主義を攻撃したロシア問題を取りあげていません。ロシア介入を強く非難するべきだと批判されても、トランプ大統領は抵抗を示しています。恐らく、セックススキャンダルや金融支援に関してロシアに弱みを握られているからでしょう。

Q ロシア疑惑に関して、米議会では2つの機密文書が公開されました。下院情報特別委員会ニューネス委員長(共和党・カリフォルニア州第22選挙区選出)の「ニューネス文書」(注1)と、それに対抗する民主党の文書です。どちらの文書が米国民から支持を受けるでしょうか?

A 「ニューネス文書」が先に公開されましたので、米国民の記憶に残っているでしょう。しかし、ニューネス文書によって共和党の矛盾点が明確になりました。共和党は、FBIのロシア疑惑捜査が英国元情報部員クリストファー・スティール氏の文書によって開始されたと主張しています。ニューネス文書によれば、それは間違いです。トランプ大統領の元外交顧問パパドポロス氏がオーストラリア外交官に、ロシアがクリントン元国務長官を傷つける情報を掴んでいると発言したことがFBIによる捜査のきっかけになったのです。

Q 民主党の文書は、「ニューネス文書」の誤りを証明したといえますか?

A 民主党の文書は10ページにわたり、ニューネス文書よりも詳細です。ニューネス文書の主張を反証しました。

Q ロシアの2016年米大統領選挙介入が、選挙結果に影響を与えたと考えていますか?

A 1億2800万人の米国人が、インターネット上で米国人になりすましたロシア人が作った政治広告に触れました。米国人は、背後にロシアの組織が存在していることに気づいていませんでした。ロシア介入は、選挙結果に影響を及ぼしたと思います。

Q トランプ大統領は、モラー特別検察官によるロシア疑惑の捜査を監督しているローゼンスタイン司法副長官を辞任に追い込むでしょうか?

A トランプ大統領はそうしたいと思っているでしょう。

Q  トランプ大統領が、ローゼンスタイン司法副長官を解任した場合、第2の「土曜日の夜の虐殺」(注2)になる可能性はあるでしょうか?

A 当時、米議会の多数派は民主党でしたが、現在は共和党です。トランプ大統領がローゼンスタイン司法副長官を解任しても、「土曜日の夜の虐殺」にはならないでしょう。

(注1)4ページにわたる「ニューネス文書」の主題は、司法省と連邦捜査局(FBI)による外国諜報活動偵察法(FISA)に基づく偵察活動権限の乱用。トランプ陣営の元外交顧問でロシアスパイの疑いが強いカーター・ペイジ氏に対する盗聴監視許可の延長を得ようとして、FBIがFISA裁判所に提出した「スティール文書」が争点となっている。「スティール文書」は、親クリントン・親民主党の元英国情報部員(MI6)クリストファー・スティール氏が作成した。

(注2)1973年10月20日土曜日、ウォーターゲート事件の渦中にあったリチャード・ニクソン大統領(当時)は、アーチボルド・コックス独立特別検察官を解任した。その過程で、エリオット・リチャードソン司法長官及びウィリアム・ラッケルズハウス司法副長官が辞任に追い込まれた一連の出来事。その後、世論は司法妨害とみなし、ニクソン弾劾に一気に動く。


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