2024年12月10日(火)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2018年3月2日

トランプ支持者の声

 リベラル派と見られているコノリー議員の北朝鮮問題に関する見方には、意外にも保守強硬派のトランプ支持者のそれと類似点がありました。米政治行動委員会年次総会の会場で、熱狂的なトランプ支持に北朝鮮問題及びロシア疑惑についてヒアリング調査を実施しましたので、以下で彼らの声を紹介しましょう。

CPACに参加したトランプ(45代大統領)支持者

マーク・ジョンソン(31)白人男性。

 「トランプがオバマよりも北朝鮮に対して、厳しい態度で臨んでいることに満足しています。トランプは北朝鮮に強い言葉を発していますが、軍事攻撃はしません。北朝鮮が反撃をするからです。フェイク(偽)メディアが戦争を行うと誇張しているだけです」

ルース・ベガ(21)白人男性。

 「トランプは北朝鮮に対して、軍事行動には出ません。言葉のみの戦争です」

ジェフ・ジョンソン(60)白人男性。

 「良いアイデアがあります。トランプと金正恩を入れ替えるのです。そうすれば、北朝鮮が再び偉大な国になります(Make North Korea Great Again)。もう一つ良いアイデアがあります。トランプが北朝鮮から核を買えば、問題は解決します」

スザンヌ・モンク(45)白人女性。

 「北朝鮮を攻撃するよりも、日本を含めた同盟国が結束することが重要です。日本は米国にとって極めて大切な国です」

類似点と相違点

CPACでトランプ支持をアピールする保守強硬派

 米世論調査会社ギャラップが行った調査(2018年2月1日-同月10日実施)によれば、米国民の51%が北朝鮮を最大の敵国と考えており、2位のロシアの19%を32ポイントも引き離しています。2016年2月の同調査では、米国民の16%が北朝鮮を最大の敵国と捉えていましたので、2年間に北朝鮮に対する脅威が35ポイントも増加したことになります。ただし、上で紹介しましたように、コノリー議員及びトランプ支持者は、北朝鮮に対する「軍事攻撃はない」とみています。

 一方、ロシア疑惑に関してはコノリー議員とトランプ支持者には深い溝が存在しています。上の4人のトランプ支持者全員が、「ロシアは、2016年米大統領選挙の結果に影響を与えていない」と明言しました。マーク・ジョンソンさんは、「ロシア疑惑そのものがフェイク(偽)です」と言い切り、スザンヌ・モンクさんは「FBIの捜査は信頼できません」と主張しました。

 クイニピアック大学(米東部コネチカット州)が行った世論調査(2018年2月2日-同月5日実施)では、「FBIはトランプ大統領に偏見を持っているか」という質問に対して、全体で55%が「偏見を持っていない」と答えています。ところが、党派別にみますと共和党支持者の約6割は「偏見を持っている」、民主党支持者の約8割は「偏見を持っていない」と回答をしています。

 さらに同調査によれば、「2016年米大統領選挙におけるトランプ陣営とロシア政府との共謀に関する捜査は合法的か、それとも政治的魔女狩りか」という質問に対して、全体で50%が「合法的」と回答しているのですが、共和党支持者になると約8割が「政治的魔女狩り」と答えています。逆に、民主党支持者は約8割が「合法的」と捉えています。トランプ大統領は、2月27日、自身のツイッターに「魔女狩り!」と投稿しました。

 コノリー議員及びトランプ支持者を対象にしたヒアリング調査の結果に加えて、世論調査からもロシア疑惑が米国社会を分断する一要因となっていることは明白です。

  
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