風呂あがりの際に、身体に塗りのばしてシャワーで流すと冷涼感が得られる。夏場、自宅に居て最も暑いと感じるのは入浴後という消費者の声をヒントに開発した。発売されたのは3月下旬で、東日本大震災の余波で節電を強いられる今夏に話題を呼ぶ一品となりそうだ。
枕タイプだけで年間150万個を売る保冷剤「アイスノン」シリーズのブランド力を生かし、今季30万個の販売をめざす。枕タイプのアイスノン自体も、暑い夏に備えてフル生産で準備中で、相乗効果を期待している。
「シャワーフィニッシュ」は液状の製品で、冷涼感を引き出すメントールと、身体にさらさら感をもたせる肌用パウダーを主成分としている。使ってみるとメントールの効果は、浴後10分くらい持続する感じだった。
男女を問わず使ってもらえるよう、クセのないかんきつ系の香り成分も配合している。1本(250ミリリットル)で二十数回使え、価格は682円とお手ごろだ。
商品企画を担当したのはマーケティング1課の竹内陽子(38歳)で、2010年6月に製品化に着手した。実はその2年前にも、生産委託先のメーカーから試作品が提示され、商品化が検討されたことがあったという。
社内でモニタリングすると、暑がりの男性社員からは一定の評価があった。しかし、顧客層があまりにもニッチだとして、お蔵入りとなった。昨年になって再浮上したのは、夏の猛暑予想によって、アイスノンブランド商品の拡充機運が高まったからだ。
08年からアイスノン部門を担当する竹内は、足裏に装着する安眠グッズ「おやすみアイスノン」などのシリーズ商品を企画してきた。今回の「シャワーフィニッシュ」については1度お蔵入りにはなったものの、肌に直接用いるという手掛けたことのない化粧品ジャンルでもあり、興味をもっていた。
「アイスノン」ならではの独自性でアピール
ただ、ほぼ同じコンセプトの先発商品が存在し、社内では依然として慎重論が優位にあった。竹内は男性だけでなく、女性にも使ってもらえる商品づくりによって「ニッチ」は克服できると考えた。
さらに、同じドラッグストアで販売される場合でも、先発商品とは異なる売り場に置くことで、ブランド力を訴求する作戦が打てると踏んだ。つまり、入浴関連商品の売り場ではなく、アイスノンのコーナーに置いてもらうことで、先発商品にない独自のアピールができると着目したのだ。
上司の理解も得て、社内の企画会議では熱弁をふるった。結局、売り方のところで評価が高く、商品化が承認された。製造は取引先メーカーに委託することとし、コンペ形式で数社から試作品を提出してもらい、改良を重ねながら発注先を絞っていった。