WEDGE REPORT

2019年2月16日

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5000ヘクタールを指導

―― 6000ヘクタールというと、大変な広さ

 そんなことはない。中国で管理する水田を把握しようとするときには、ムー(中国の面積の単位。畝。1ムーは1ヘクタールの15分の1)とか、ヘクタールではなく、基本的に縦何キロと横何キロで考える。面積を言われても、広大なので、「縦15キロと横20キロ」とか。指導するのは、新規に開発した土地が多い。

 私は、土地改良や育苗施設の簡単な設計をし、実際の運用もする。彼らが、私の教えたものに改良、改善をしなければ、大丈夫。改良、改善が好きなので……。

 中国で私の教えたやり方で作付けしている面積は、5000ヘクタールくらいしかない。そんなに大した面積ではない。

 中国のコメの平均収量は日本の1.3~1.4倍程度。面積当たりの生産量は日本よりもはるかに多い。南の方で栽培されているのはほとんど、従来からある固定種ではない。中国のF1(雑種第一代)の稲の栽培面積は85%とされている。日本で1反(10アール)600キロ程度のところを、もみの状態で1トン、もみを取った状態で800キロ程度はある。F1の品種は、それぞれの省が開発したもの。種の値段は恐ろしく高い。

 普及した理由は、少子高齢化で田舎ほど過疎化が進んでいて、収量を高めないと必要量が賄えないという考えがあるから。田舎は人手がないから、簡単に取れるコメを求め、F1が異常に伸びた。F1のコメは、まずい。買取価格は固定種より安くなるが、収量が高いので農家の収入は上がる。

清華大学で地方出身の農家リーダーに日本農業と中国農業の違いをテーマに講演したときの様子(2017年、石附さん提供)

中国でもコメは生産過剰に

 ただし、中国でコメはすでに生産過剰になっている。豚の飼料になっているくらいで、生産抑制に入っている。コメの買取の基準価格は、長粒種も短粒種も、キロ当たり0.2元つまり2角ずつ下がった。

 今は、砂漠のようなかつて米を作っていなかったところでも稲作を始めている。そういう地域で、何百万トンというコメが新たに出てくる。日本の需要量は年間750万トン程度。その一国分くらいを数年で作ってしまうのが中国。環境は変わっている。

―― 栽培指導で求められていることは

 日本のような機械化体系を取り入れたがっている。大規模な農場では、科学的な管理をし、どうすればコストダウンできるか、収量が上がるかを指導する。毎年、1、2カ所から声がかりがある。

 食味を向上させるための指導は、今はまだ求められていない。ただ、今後農場でブランドを作って独自に売るとなった場合、ほかの国なら品質が良いからと2、3割高く売るようなところを、中国だと2、3倍の値段で売る。そうなると、それに見合った品質、品格のものを出さないと、リピーターがつかない。リピートして食べてもらえる商品を出す。それが次のフェーズ。

黒竜江省での稲刈り(2018年、石附さん提供)

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