2024年4月17日(水)

<短期連載>ペット業界の舞台裏

2011年12月24日

動物を飼う前に寄付や保護への理解を

 「ペットは家族です」という飼い主が増えています。それはとても良い傾向だと思います。しかし、人間と犬や猫は違う生きものです。それぞれ価値観や習性、食性も全く違う種の生き物です。人間社会で生き物と生活する場合、ペットは人間社会のルールに合わせる必要があります。そのルールをペットに教えるのは飼い主の役割です。他の人間との関係に信頼を保つことが出来ない限り、その家族たるペットも信頼を得ることが出来ません。そういった飼い主が、ペットとの社会的な共生をも阻害してしまう結果になります。

 単純な話です、ペットを飼うことで他人に迷惑をかけない。自分の責任で育てる。そんなに難しいことでしょうか?

 動物の保護をしている方と盛り上がった話題があります。「動物との生活は体験してみなければわからないから、一年間保護団体へ毎月2万円の寄付と保護動物の短期預かりを経験することを飼い主としての資格にしたらどうかと。普通に育てても必要な平均額、家に他の動物がいる環境、どちらも経験させ考えてもらう期間を作る、なおかつ不遇な命に貢献できるから義務にしたいね」。

 何気なく会話した内容ですが、ペットと呼ばれる動物たちの実態を知る立場からは、夢のような内容です。法的な義務化は難しいのですが、民間でも制度として取り入れることは可能だと考えられますので、現実化していきたい内容です。

 現代人のモラル意識や常識の問題は広く話題になっています。しかしペットに関してのこの問題は、人間が作り出した小さな命の行く末に関わってしまいます。不条理な理由で殺処分される多くの命も、虐待され辛い生活を強いられる命も、全て彼らの罪ではありません。彼らは人間たちの心によって作られる罪の被害を受けているだけです。家族と呼ぶのであれば、しっかり考えていきたいことです。(第5回につづく)


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