2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年4月9日

 米ヘリテージ財団のウェブサイト3月16日付で、同財団のDean Chengが、薄熙来解任は、中国指導層の不安定さを示すものであり、今後中国側の政策が変わることはあまり期待できないから、米国側としては対中政策に手加減を加える必要は無い、と言っています。

 すなわち、薄熙来が、本当にイデオロギー的に毛沢東派だったかどうかはわからないが、今回の事件は、薄が毛沢東路線を使って大衆の支持を動員して政治局の常任委員のポストを狙ったことが咎められたものだ。

 ただ、従来、そうした人事は党の上層部の内部だけで決定されてきたが、今回の事件では、そうした動きが外部に出てしまった。これは、中央の統制力が緩んでいることを意味し、そうした状況では、今後中国政府から新しい政策が出て来ることは期待できないだろう。従って、米国はTyranny of the calendarに従う(次の首脳会談があるからと言って、台湾武器売却などの決定を先延ばししたり、米国の政策に手加減を加えること)必要はないということだ。

 また、今回の事件のもう一つの教訓は、亡命者の扱い方を再検討する必要があるということだ。王立軍の米総領事館避難の背景はわからないが、王は中国内のあらゆる治安機関について情報を持っている人物であり、彼を中国政府に引き渡してしまったことで、米国は貴重な情報源を得るチャンスを失してしまった、と言っています。

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 今回の薄熙来・解任事件の真の背景については、まだ情報不足であり、その真相はつかめませんが、いずれにしても党中枢の指導にガタが来ているという印象は拭えず、この社説もその点をついたものです。そして、それを政策論に敷衍して、現在の中国の政治状況から考えて、新しい政策が出て来るような状態ではないと予測し、だから米国は無用な譲歩をする必要はない、と論じているわけです。


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