Wedge REPORT

2020年3月24日

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 地方都市の消費の一端を担ってきた地方百貨店の店舗閉鎖が相次いでいる。最大の原因は「大手アパレルメーカーが、地方百貨店の売り場の選別に入っている」(百貨店OB)といわれているし、百貨店自体の改革が遅れてきたからだ。しかし、それだけではない。今や、地方の中心市街地ではすっかりお馴染みになっているドン・キホーテが、その競合先になっている上、閉鎖店の受け皿になっているのだ。

(Rodrigo Reyes Marin/AFLO)

 従来、地方百貨店はオンワードホールディングスや三陽商会、ワールドといった、大手アパレルメーカーの手厚い支援で売り場が支えられてきた。

 だが、地方百貨店の衣料品売り場の存続自体が危ぶまれている。というのもアパレルメーカーと運命共同体だった百貨店の不振で苦境に立たされているからだ。

 オンワードが国内外で600店を閉鎖することを明らかにしたり、三陽商会が2019年2月期(今期は14カ月の変則決算)が営業損益が赤字、4期連続の赤字見通しとなったり、レナウンも赤字が続くなどアパレル自体が厳しい状況にある。

 かつて、派遣店員は出します。売れ残り商品は引き取りますと手厚い取引を展開してきたアパレルメーカーの全盛期の姿はそこにはない。

 アパレルメーカーに依存した衣料品の売り場は、地方百貨店にとっていわば最後の砦となってきたが、その砦すらも「アパレルメーカーからの最終的な選別に遭い、維持できなくなっているのではないか」(ある大手百貨店OB)というのが現状だ。

 地方百貨店にとってもアパレル売り場が構築できないようなら、もはや百貨店の看板をいつまでも掲げられない。

 つまり地方百貨店自体がぬるま湯の中から脱出できなかったこともあるが、アパレルメーカーが影響していることも否定できないだろう。

 地方の百貨店といえば、かつて休日に家族そろって出かけ、子供は屋上の遊園地で遊び、奥さんは衣料品などを買い、家族そろって店内の食堂で食事をして帰るという風景があったがそうした風景も見なくなった。

 代わってショッピングセンターに出かけ、買い物をしてフードコートで食事をするというスタイルが定着したが、それすらも今ではEC(電子商取引)市場の拡大で変化している。

地方都市の風景は百貨店からSC、そしてドンキへ

 地方都市の風景は百貨店からSC、そしてドンキへと代わっている。ドンキで育った若者世代が親となって、ドンキに子供を連れて出かけるようになっており、ドンキが家族で楽しめる〝レジャーランド〟になっているのだ。

 全国的に店舗が増えて身近になったドンキが「地方百貨店の淘汰を促進する一因になるのではないか」(前出百貨店OB)という。

 ドンキはすでに標準型の「ドン・キホーテ」を始め大型の「MEGAドン・キホーテ」、買収したユニーの業態転換店舗などドンキと名の付く店舗を全国で約380店を展開し、地方都市の駅前や駅近くにある商店街にもドンキがある風景はごく当たり前になっている。

 ドンキは衣料品、日用雑貨、食品がそろう上、ブランド品まである。総合スーパー(GMS)だけではなく、地方百貨店が扱っていた商品ともバッティングする。

 百貨店がかつて晴れの日の商品をそろえ、晴れの日を演出する場であったとするならば、現在のドンキは、ブランド品や時計貴金属など晴れの日の商品もそろう〝カジュアル化した百貨店〟ともいえる。

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