Wedge REPORT

2020年3月24日

»著者プロフィール
閉じる

森谷信雄 (もりや・のぶお)

流通ジャーナリスト

新聞記者を経て独立。現在、流通ジャーナリスト。

「ドンキの進出には地元の経済界ももろ手を挙げて賛成」

 しかもドンキの親会社、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は22年12月までにドン・キホーテとユニーのダブルネーム店舗を100店に増やす計画と加速度的に店舗を増やしており、ドンキは一段と身近になっている。

 このように地方の主役も変わってきている。かつて、ドンキといえば深夜営業を背景に、自動車やバイクなどの騒音問題で地元から疎まれたこともあったが、それが今や「ドンキの進出には地元の経済界ももろ手を挙げて賛成」(ある商工会議所役員)という声もあるほど。

 むしろ地方都市の中心市街地に積極的に出店してくれる小売業はドンキくらいしかないのも実情だ。中心市街地の空洞化を防ぎたい、地元からも歓迎されている。

 ドンキはかねてパチンコ店の跡地や、家電量販店、さらにスーパーの跡地への出店は得意中の得意だったが、最近は地方百貨店の跡地への出店も増えている。

 ロードサイド型の宮崎県内唯一の百貨店であったボンベルタ橘は、かつてイオンの傘下だったが、イオングループから離脱、地元から資本を集め県民百貨店として再生を目指していた。

 だが今年2月1日、ドンキを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が買収した。

 岐阜県の柳ケ瀬店でも名鉄が運営していたファッションビル「メルサ」をドン・キホーテに業態転換した。

 和歌山県和歌山市の「和歌山店」もかつて丸正百貨店の跡地だし、東京都大田区で地方百貨店の雰囲気を残していたダイシン百貨店もMEGAドン・キホーテに転換している。

 さらに今年3月20日には仙台市にあった旧さくら野百貨店跡地をPPIHが再開発すると一部に報道されたりして、今や閉店したり、行き詰まった地方百貨店の受け皿となっている。

 ドンキも今や若者だけの店ではない。「つけまつ毛ドーンとあるような品ぞろえばかりではない。夕方のピーク時間には食材を購入する主婦の姿が目立ちます」(目黒区に住む主婦)。

 来店客の高年齢化が進み、前社長の大原孝治氏は2019年6月期の決算発表の席上で「ドン・キホーテが大人になってしまった」という。

 それはドンキの品ぞろえが大人を意識するようになって、本来メーンの顧客だった若者が離れてしまっているという危機感の裏返しでもあるとみられるが、反面、シニアの客層の取り込みに成功したともいえる。

 ドンキは若者だけでなく、今では老若男女が来店する場なのである。しかも疲弊した地方の中心市街地になくてはならぬ存在となっている。地方都市の中心市街地の風景はドンキが変えていくのか――。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る