2022年11月29日(火)

J-POWER(電源開発)

2021年1月20日

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「温室効果ガスの排出ゼロ」の首相発言が各界に波紋を広がるなか、注目を集めるクリーンエネルギーの近未来。 その主役として世界が認める「風力」の導入拡大プロジェクトが、国内外で着々と進行する。 ヨーロッパではあと7年で風力が最大の電源になるという。日本ではどうか。 その最新事情と、風力発電で国内シェア2位に位置するJパワー(電源開発)の動きを追う。

再エネの次代を担う風力
世界の「主力電源」へ

 

 再生可能エネルギーは2025年に世界最大の電源となり、全世界の電力供給量の3分の1を占めるだろう─。そんな予測とともに国際エネルギー機関(IEA)は11月10日、世界の再エネ発電能力の2020年増加量が過去最大の198ギガワット(GW)に達することを明らかにした。すべての電源で増えた発電能力の約9割を、再エネが占める計算になるという。

 日本でも菅首相が11月22日のG20首脳会議で、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を言明。クリーンエネルギーへの関心は否が応でも高まりを見せる。なかでも担い手として注目を集めるのが、風力だ。2027年には風力エネルギーが欧州最大の動力源になると、IEA「世界エネルギー展望(World Energy Out look 2018)」も予測する。

 世界全体の風力発電の設備容量は約539GW(2017年末)。日本では約3.5GWにすぎないが、政府のエネルギー基本計画では2030年までに10GWへの増加を見込み、日本風力発電協会では2050年目標で130GWに伸ばすことも可能とみる。風力が期待されるのは、再生可能であるうえ、純国産であるため安全保障上の不安がなく、大規模になれば火力並みの発電コストで経済性も確保できる可能性を秘めているからだ。さらに、洋上風力では発電設備の部品が多いため関連産業の裾野が広いともいわれる。

 半面、天候や風況の影響を受けやすいため安定的な運転が難しいのが風力発電の弱点。これを補うには、多くの風車を一定エリアに集合させて総体としての安定性を保ち、また個々の風車の直径と高さを増すことで出力増強を図るしかない。つまり、風力進展の鍵は集合化と大型化であり、そうしたウィンドファーム型設備の開発により、2000年前後から日本の風力発電は徐々に拡大してきた経緯がある。

ウィンドファームで実現
電力事業と地域の共生

 その日本の大規模風力発電の先駆けとなったのが、2000年12月にJパワー(電源開発)が運転を始めた北海道の苫前ウィンビラ発電所である。当時まだ風車1基あたり数百kW程度の出力が一般的だった日本で、世界最大級となる1650kWの発電機を導入。全19基の総出力3万600kWは国内最大規模で、一般家庭約1万7000世帯相当の電力を生み出した。

 もう一つ、この発電所を印象づけているのは、広大な町営牧場内にあって電力ケーブルを地中に埋設し、周囲の環境・景観とも一体化していることだ。町と企業の共同出資による取り組みとも相まって、その年の第5回「新エネ大賞」資源エネルギー庁長官賞を受賞。翌年には隣接の風力発電所とともに国土交通省の「美しいまちなみ優秀賞」も手にしている。

戸田勝也 J-POWER 再生可能エネルギー本部 風力事業部 事業推進室長

 「風力発電の開発には、町おこし、地域共生の視点が欠かせません。この苫前でも長く強風に悩まされてきた土地柄を、逆に町の未来に生かせないかという発想が根底にありました」

 Jパワー再生可能エネルギー本部の戸田勝也氏(風力事業部事業推進室長)はそう話す。実際、農場・酪農場との併設型や、生態系に配慮した自然共生型など、その後20年にわたってJパワーが手掛けてきた風力発電所の多くが、何らかの形で地域社会のあり方と深く関わりながら共存している。

 2020年12月に運転開始を迎えたばかりの、くずまき第二風力発電所(岩手県葛巻町)もその一つ。同じく葛巻町の上外川高原牧場内で2003年12月から運転を続けるグリーンパワーくずまき風力発電所に隣接して、新たに22基の大型風車を設置(出力約4万5000kW)。「ここでは自然環境に配慮しながら、『ミルクとワインとクリーンエネルギーのまち』との共生を図りながら事業を行ってきました」(戸田氏)。今回の新設で、その絆がさらに強まることに期待がかかる。

くずまき第二風力発電所 2020年12月運転開始 写真を拡大

 「風力発電所というのはそれだけに、建設前の調査や準備には十分に時間をかけ、風況や地形・植生の適性はもちろん、環境への影響、地元の産業や生活にどのように貢献できるかなどを、徹底して検証しています。稼働するまで概ね10年でしょうか」

 Jパワーが風力発電の開発に着手したのは20年以上前。それまでは水力・火力の電源開発で実績を重ねてきたが、政府の「ニューサンシャイン計画」をはじめとした次世代エネルギー技術の確立を目指す新たな方向を見据え、再エネ事業に参画した。なかでも風力に取り組んだのは、水力の現場で培われた技術と経験があったからだと戸田氏は言う。大規模発電設備の開発・建設・運転・保守を一貫して担うことができるノウハウ。その有形無形の資産を新たな電源開発に生かすべく、あえて困難といわれた風力発電の大規模事業に挑戦したという。

 現在、Jパワーが国内25地点で運転する風力発電所の総出力は約58万kWで、国内シェア第2位。これに建設・建設準備中の国内2件および英国1件を加えると、合計約87万kWへと一挙に増大する(上図)。他にも多くの地点で開発準備の段階にあり、さらなる拡大を視野に入れている。

 新規開発が進む一方、経年化した設備をリプレース(一括更新)で高効率の最新機種に建て替える計画も進行中。

 「更新することで日本の再エネを確実に担い、また地域とのつながりを一層強いものにしたい」と戸田氏は語る。リプレース工事の第一弾は前述の苫前ウィンビラ発電所だ。運転再開予定は2年後。国内最大級4300kWの風車8基に姿を変える。

海へ広がる風力の舞台
洋上プロジェクト進展中

せたな大里ウインドファーム 2020年1月運転開始 写真を拡大

 風力開発の舞台は今後、洋上へと移るというのが世界の共通認識だ。陸上に対して資機材輸送の制約が少なく、大型風車を導入しやすいなどのメリットがある。海外ではすでに開発競争ともいえる状況で、洋上風力の発電量は世界全体で10年間に約10倍の伸びを示す。EUはこの11月、洋上風力の発電能力を2050年までに300GWとする目標を発表した。

 日本でも洋上風力の導入拡大はエネルギー政策の既定事項。昨年4月には再エネ海域利用法が施行され、指定の促進区域では事業者が最長30年間の占用許可を得ることが可能となった。これに基づき今年6月より事業者選定の公募が始動。直近では11月27日に千葉・秋田で募集が始まり、うち秋田2区域ではJパワーが参加するコンソーシアムも応札の準備を進めている。

 折しも7月には洋上風力の普及強化に向けた官民協議会が発足。その初会合で梶山弘志経産相は、年間1GW(100万kW)の導入を継続し、2040年には30GW(3000万kW)に到達したい考えを示した。

 これに先駆け、Jパワーは10年以上前から洋上風力事業の準備に着手。北九州市沖・響灘での実証事業参加を皮切りに、2018年からは英国トライトン・ノール洋上風力発電所の建設プロジェクトに参画。洋上風力の建設から運転・保守・撤去に至るまでのノウハウ蓄積に努めてきた。また、再エネ海域利用法の観点から有望視される、北海道檜山エリア沖、福井県あわら市沖、長崎県西海市沖の3つの海域においても、海底地盤調査などが進展する。

 海洋国家日本の洋上風力はさらに大きなポテンシャルを秘めている。風車の支柱を海底に固定する「着床式」と呼ばれる発電設備が現在の主流だが、風車を海中に浮かべる「浮体式」がこれに加われば、その可能性は一挙に広がっていく。「最先端の技術を取り込み、新たな舞台へさらなる経験と知見を積み上げたい」と戸田氏は意欲を燃やす。

 そこには、戦後復興期の電力需要を支える難事業の遂行を使命に誕生し、エネルギーと環境の共生を目指して挑戦を続けてきた企業のDNAがある。

再生可能エネルギー
J-POWERの取り組み

J-POWER(電源開発株式会社)は1952年、戦後の電力不足解消を目的に発足した。現在、国内約100カ所にさまざまな発電所を保有。水力発電と風力発電はともに国内第2位の設備出力を持つ。2018年6月に再生可能エネルギー本部を新設。2025年度までに再生可能エネルギーの新規開発100万kW規模(2017年度比で水力3億kWh/年増、風力25億kWh/年増)を目標に、設備更新や新規地点開発などの取り組みを強化している。

J-POWERグループの再エネ発電設備(国内)
水力発電所 60カ所 856.0万kW
風力発電所 25カ所 57.5万kW
地熱発電所 1カ所 2.3万kW (2020年12月末現在 持分出力ベース)