2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月16日

 南シナ海における中国の行動を抑止し、より迅速に対応するためには、南シナ海地域の諸国間で情報共有を進め、海洋の共通利益に対する意識を高め、共同行動をとることが重要だ。米国としても、目立たない小規模の軍事力により東南アジア諸国に安全ネット提供していく必要がある、と論じています。

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 ヨシハラは、東シナ海と南シナ海における中国シーパワーの潜在的脅威の本質を突こうとしています。それは軍事的、非軍事的手段を統合した総合的なもので、その主たる目的は、軍事的勝利よりも、相手の政治的意志を挫くことによる政治的利益の拡大、ということです。

 この小論文は、現在尖閣諸島を巡り日本と対立する中国の将来の出方を占う上でも極めて示唆に富んでいます。特に、中国の挑戦が小規模すぎ米軍は本格介入しにくい、中国はそうした挑戦を繰り返す一種の消耗戦を通じ相手の対米信頼を挫く、との指摘は、的確でしょう。

 米国防総省関係者が「孫子の兵法」を本格的に研究するようになって久しいですが、最近の中国シーパワーに関する日米海軍関係者たちの著作には興味深いものが少なくありません。ヨシハラの小論文もその好例ではないでしょうか。

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