2024年4月20日(土)

新しい〝付加価値〟最前線

2021年12月14日

 同社では、従来からの家庭利用に加えて、在宅勤務および在宅学習に応えるハイブリッドモデルとして、「PIXUS XK100」を、今年の新モデルとして発売。在宅勤務や在宅学習でよく利用する機能だけをホーム画面に配置できるようにしたことで、使いたいときにすぐに使えるようにしたほか、スタートボタンを押すだけでコピーを開始し、急いでいるときはもちろん、コピー作業に時間をとられたくない場合にも最適な機能として提案している。在宅勤務や在宅学習向けに使い勝手を向上させる新たな機能だ。

インクカートリッジからインクタンクモデルへ

 現在、家庭向けイングシェットプリンタには大きく二つの製品がある。

 一つは、従来からのインクカートリッジモデルだ。

 インクがなくなったらカートリッジを交換して利用するというものであり、これは、プリンタ本体を低価格で販売して、インクカートリッジで儲けるという、これまでのプリンタメーカーの収益性を支えてきたビジネスモデルでもあった。

 だが、この仕組みは、多く印刷する人にとっては、逆に高コストになるという仕組みでもあり、約10年間における出荷台数の減少、印刷枚数の減少というなかで、プリンタメーカーの収益性を悪化させていた。また、ランニングコストに対するシビアな見方も出ており、その結果、低価格の互換インクカートリッジが普及し、メーカー純正インクカートリッジの販売数量が低下するといった動きも見られていた。

 これに対して、ここ数年、注目を集めているのが、大容量インクタンクモデルだ。

 本体価格は高いが、あらかじめ大容量のインクタンクが搭載されており、インクが無くなれば、インクボトルを購入し、補充すればいい。一度補充すれば、A4サイズで3700枚(エプソンの増量サイズの場合)もの印刷が可能になる。

大容量インクタンクモデルでは、インクカートリッジを取り換えるのではなく、インクボトルで補充する

 これにより、印刷コストも大幅に低減。この分野で先行するエプソンによると、A4カラー印刷の1枚あたりの印刷コストは、インクカートリッジ方式では約13.2円だったものが、大容量インクタンク方式では約3.0円と大幅に減少。L判写真でも、インクカートリッジ方式では約22.7円だったものが、大容量インクタンク方式では約9.5円にまで印刷コストを下げることができる。

 「1年間でインクカートリッジを1セット以上購入する人や、500枚入りのA4コピー用紙を年間1冊以上購入する人は、大容量インクタンク方式の方が得になる」(エプソン)ということを考えると、在宅勤務や在宅学習で、自宅でのプリントが増加した人にとっても、大容量インクタンクモデルを購入した方が、コストメリットが大きいといえる。

長期間使うための整備にも注力

 エプソンの今年の新製品である「EW-M754T」では、より使い勝手に配慮。さらに、大容量インクタンクモデルを購入しない人からは、「故障せず長く使えるか不安」といった声があがっていたことから、5年間のサポートサービスを提供する「カラリオスマイルPlus」により、大容量インクタンクモデルを安心して利用できる環境を実現している。

 2018年以来、3年ぶりにプリンタのラインアップを大幅に刷新したブラザー販売では、大容量インクタンクモデルの品揃えを強化。インクカートリッジに換算するとブラックで約16本分、カラーでは約10本分のインク量を搭載し、インクは1年交換しないで済むなど、手間がかからない点も訴求する。さらに、本体機構の改良によって、約10万ページの耐久性を実現しており、家庭内で想定される印刷量を大幅に超える大量印刷でも安心して使い続けることができる安心感も訴えている。同社では、「在宅勤務や在宅学習はもちろん、おうち時間を楽しむツールとして進化させた」と自信をみせる。


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