新しい〝付加価値〟最前線

2021年12月14日

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 コロナ禍で家庭用インクジェットプリンタのニーズが変化してきている。

 家庭内におけるプリンタの主な利用は、年賀状の印刷や、撮影した写真の印刷が「定番」であったが、年賀状利用者の減少や、スマートフォンで写真を撮影してもプリントアウトするケースが少なくなったことで、全体的に縮小。業界の調べでは、約10年にわたって、毎年約5%ずつ販売台数が減少しており、業界全体としても打開策が見いだせない状況にあった。

 だが、コロナ禍によって、在宅勤務や在宅学習といった動きが加速。それに伴って、家庭内での仕事や学習にプリンタを活用するといった用途が顕在化してきた。

在宅勤務の浸透により、プリンタ需要は変化しつつある

 エプソン販売の調査では、コロナ禍でプリンタの活用が変化し、家庭内のプリンタ利用が増加するとした人は35%に達しており、減るとした人はわずか6%に留まっている。

 また、ドリルなどの教材利用が子どもの学習に与える効果については、「大変ある」との回答が26%、「ある」が56%となっており、在宅学習のために、ドリル教材をプリンタで印刷するといったニーズを生むことにもつながっている。

 業界関係者によると、テレワーク需要や在宅学習需要では、4ポイントほどの市場押し上げ効果があったという。それにより、前年並みの販売実績を維持。「部品不足を背景にした供給量の制約がなければ、前年実績を上回ったのではないか」(関係者)との見方も出ているほどだ。コロナ禍で、家庭内におけるプリンタ需要が回復しているのは間違いない。

在宅勤務、在宅学習が求めるプリンタとは?

 そうした市場環境の変化に伴い、購入者のニーズにも変化がみられているという。

 在宅勤務や在宅学習を目的にしたプリンタ購入者に限定すると、プリンタ本体の価格を重視する人が減る一方で、サイズやデザイン、ランニングコストを重視する人が増加。「小さいサイズで場所を取らないこと、リビングや仕事をする場所に置きやすいデザインのほか、在宅勤務手当のなかでインク代が賄えることや、大学での共有プリンタの利用から自宅での印刷に変化したことで、ランニングコストに対する見方がシビアになっている学生などがいる」とエプソンは指摘する。

 キヤノンマーケティングジャパンでも、「在宅勤務や在宅学習を行っている人は、本体価格よりも、ランニングコストを重視する傾向が高く、さらに、デザインや性能に対する要求も高い」と指摘する。同社の調査では、プリンタ購入者のうち、在宅勤務や在宅学習を行っている人では、「1枚あたりの印刷コストが安そうだから」、「印刷速度が速そうだから」、「インクカートリッジを頻繁に交換しなくてよさそうだから」という回答が多いという結果が出ている。

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