2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月6日

 2013年1月3日付米Diplomat誌ウェブ版で、台北タイムズ紙のJ. Michael Cole記者が、最近、中国海軍は退役済みの11隻の軍艦を海上監視部門に配置換えすることを決め、領土・領海をめぐる中国の姿勢をさらに硬化するつもりである、と述べています。

 すなわち、2隻の誘導ミサイルつき駆逐艦を含む計11隻が中国の海軍から国家海洋局に引き渡された。この2隻の3250トンの駆逐艦は、最大スピード32ノットであり、東シナ海と南シナ海の双方を跨いで監視することになる。

 中国国防省と国家海洋局は、この11隻の軍艦の配置換えについて一切コメントしていない。ただ、中国人専門家たちは、これによって中国の海洋監視能力が格段と強化された、と述べている。

 それに加え、2015年までには36隻の新しい海洋監視船が追加される予定と公表されている。これらは、日本の海上保安庁の巡視艇の大きさを意識して整備されるものと見られる。

 今のところ、中国は、日本と同様に、対立の激化を回避するため、軍艦を当該地に派遣することを控えている。しかし、改装された軍艦が監視船に加わることになったことは、軍事化への恐れを引き起こすものである。さらに、中国が忍耐力を失えば、新たにより強硬な局面に入ることもあり得る。

 中国軍事科学研究院の羅援少将は、中国の「自制」は長続きしないかもしれないとし、すべての関係国は2012年から「より高いリスクと激烈な競争の局面に入った」と言う。そして、同人は、他の国々の「反中活動の挑発」として尖閣とスカーボロー礁の例を挙げた。

 最近、中国は、海南島三沙市が所管する南シナ海でのインフラ整備のために16億米ドルを活用すると公表したが、この中には、海洋監視船の増強費用も含まれるかもしれない。


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