世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月6日

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 日本が核武装するとすれば、第一に、日本が米国の核兵器を購入、あるいはリースする、第二に、戦後米英間で行われたように核兵器を共同開発する、第三に、現在NATOで行われているように、米国の戦術核弾頭を日本に配備し、実際の使用は日米共同決定で行うという、日米での核の「共有」という選択肢が考えられる。日本の識者の中には、日本独自の核武装を提唱し、6隻もの原子力潜水艦保有を求める向きもある。また、核は保有せず、通常戦力に戦略的能力を持たせる道も考えられる。韓国がミサイルの射程を800キロに延ばしたのに対して、安倍内閣はこの件の再検討を開始している。

 米国は、核の傘を提供する方が核攻撃を受けやすいというリスクを認識しているが、日本の核武装も望まない。そのような状況では、日本は別の傘の持ち主を探すか、中国等になびくか、核兵器の問題を無視するか、あるいは「いつでも核兵器を持ち得る」ことをちらつかせて、そうして欲しくない米国に核の傘をさしかけさせる、というやり方しかない。日本は当面、この最後のやり方を続けるだろう、と述べています。

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 日本に核武装を求める声が目立つようになってきた背景には、リーマン・ショック後の米国衰退論、米国がオバマ大統領就任以降、核弾頭搭載トマホーク巡航ミサイルを太平洋から引き上げる等、「米国による核の傘」の希薄化が生じていること、などがあります。

 そうした中で、米側論者が日本の核抑止力問題を、これまでになく率直に、タブーを取り払って議論したものとして、この論文は話題を呼ぶことになるでしょう。「領土が小さい日本は、核攻撃に対して脆弱である」という基本的なジレンマを解決できるような名案はなく、現在論壇に乗っているいくつかのオプションを叙述したものに終わっているきらいはありますが、この論文のような率直で冷静な分析が高い価値を持つことは言うまでもありません。日本側でも、核政策に関する体系的な分析が必要です。

 潜在的核保有能力を背景に米国による核の傘を確保することを目指すであろうとの分析は正しいと思いますが、そこで鍵を握るのが原発です。原発への消極姿勢が続けば、原子力技術が衰退し、そういう戦略がとれなくなってしまいます。原発の輸出だけでは不十分でしょう。原発再稼働の重要性を、安全保障の文脈からもよく考える必要があります。

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