明治から昭和にかけて、近代日本画のけん引役を果たした下村観山(しもむら かんざん)。生誕140年を記念し、晩年を過ごした地である横浜で、本格的な展覧会が開かれる。
和歌山県で代々続く能楽師の家に生まれた観山は幼少時から絵の才能を発揮、狩野芳崖(ほうがい)や橋本雅邦(がほう)に師事し、13歳で描いた作品は、フェノロサをも驚嘆させたという。会場では、狩野派修業時代の初期の作品から、東京美術学校の第1期生として横山大観らとともに、岡倉天心の指導の下に学んだ時代、ヨーロッパ留学を経て、天心没後に日本美術院の再興に尽力した晩年のものまで、約120点を展示。観山の画業を振り返りながら、改めて近代日本画の流れをたどることができる。
下村観山「小倉山」(右隻) 明治42(1909)年 絹本着色 六曲屏風一双
横浜美術館所蔵 *通期展示
横浜美術館所蔵 *通期展示
ハイライトは、当時滞在していた茨城県の雑木林を描写したという傑作「木の間の秋」、日本美術院の第1回再興院展の出品作「白狐」などの代表作品。そして『小倉百人一首』に収められている藤原忠平の和歌をテーマにした優美な屏風絵「小倉山」など、画技を極めた観山の描く、奥深い日本画の世界に誘われてみたい。
生誕140年記念 下村観山展
<期間>2013年12月7日~2014年2月11日(会期中展示替えあり)
<会場>横浜市西区・横浜美術館(みなとみらい線みなとみらい駅下車)
<問>045-221-0300
http://www.yaf.or.jp/yma/tickets/500140/
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