アボット政権は、中国、日本、韓国と12カ月以内にFTAを締結しようとしている。軍事専門家のヒュー・ホワイトは、もし豪州が日本に好意的態度を示し続ければ、中国は報復措置としてFTA交渉から撤退するかもしれない、と警告したが、ビショップ外相は、ホワイト博士の見解には同意せず、「豪州は、北東アジアの二つの大国、そして豪州の最大の貿易相手国との関係を、“器用な”政治手腕によって調整出来る」と述べた、と報じています。
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豪州のアボット新政権が、中国の不満にもかかわらず、日本との関係を大変重要視している、との解説記事です。
安倍内閣の防衛安保政策推進にとって、ビショップ外相の発言と本記事の扱い方は、まことに心強いものです。特に、集団的自衛権の行使、集団安全保障における役割強化には、全幅の支持を与えています。アフガニスタンにおける「駆けつけ警護」の例などは、安保法制懇の従来のいわゆる「第三類型」についての、日本側の説明が成功していることを示すものであると言えるでしょう。そして、シーレーンの共同防衛を中心とする集団的自衛権の行使については、豪州は全面的支持の姿勢です。
そもそも、集団的自衛権行使について、中国側の評価を気にすることは無意味です。中国の最大の仮想敵は日米同盟であり、日米同盟が強くなることには全て反対です。それを一々考慮に入れていては、防衛とか安全保障というものが成立しません。
安倍政権は、インドとは良好な関係を確立していましたが、豪州に新保守政権が成立し、対日関係重視を公然と打ち出してくれたことで、ここにまず、日、印、豪の協力関係が成立したと言ってよいでしょう。インドの政権はやがて交代するでしょうが、安倍内閣の姿勢から言って、日印友好関係は維持されるはずです。日本のアジア政策を展開していく新たな展望が開けたと言えるでしょう。このことは、オバマ第二期政権の対アジア姿勢が、一期目のクリントン、キャンベル主導の時代と比べてはっきりしない、というマイナス要因を薄めてくれると期待できます。
当面最も大事なことは、集団的自衛権の行使を決め、なかんずく、太平洋、インド洋のシーレーンの日米共同防衛(豪州は既に参加、インドの参加の意思あり)を実現し、豪州の期待を裏切らないことです。
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