2024年5月4日(土)

BBC News

2024年4月25日

アメリカが長距離弾道ミサイルをひそかにウクライナに供与し、それをウクライナがロシアへの攻撃で使い始めていると、米当局が24日、明らかにした。アメリカでは同日、ウクライナ軍事支援の追加予算案が成立した。

この長距離弾道ミサイルは、ジョー・バイデン米大統領が3月に承認した3億ドル(約466億円)規模の支援パッケージの一部。今月、ウクライナに届いたとされる。

ロイター通信は匿名の米当局者の話として、ロシアが占領しているクリミアの飛行場への攻撃で先週、このミサイルが初めて使われたと報じた。

米紙ニューヨーク・タイムズは24日、ロシアが占拠する南東部の港湾都市ベルディヤンスクに対する23日夜の攻撃でも、この長距離ミサイルが使用されたと伝えた。

アメリカはこれまで、「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS、エイタクムス)」の中距離バージョンをウクライナに供与していることを明らかにしていた。ただ、それより強力な兵器の提供については、米軍の即応性を損なう恐れがあるとして消極姿勢を示していた。

しかし、バイデン氏はひそかに2月、最大射程距離300キロメートルの長距離ミサイルシステムの供与を許可していたとされる。

国務省のヴェダント・パテル報道官は24日、「大統領の直接の指示で、アメリカがウクライナに長距離ATACMSを供与した」と説明。

「ウクライナの要請で、作戦の安全性を守るため当初は発表しなかった」と付け加えた。

これまでどれだけの数が送られたのかは不明。ジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、今後さらに供与する予定だと述べた。

「(ATACMSは)戦況に影響を与える。けれどもこれまでもここで繰り返してきたように、決定打となる魔法の弾などない」とも、サリヴァン氏は話した。

バイデン氏「直ちに」武器送ると

ウクライナでの戦争は、ロシアが着実に前進する一方、ウクライナは弾薬の在庫の枯渇に見舞われている。ウクライナはここ数カ月、西側諸国への支援の要請を強めている。

そうしたなか、米連邦議会は20日の下院に続き、23日に上院でも、ウクライナへの軍事支援を含む950億ドル(約14兆7600億円)規模の予算案を可決。24日にバイデン氏が署名、成立した。

バイデン氏は署名後、「アメリカをより安全にし、世界をより安全にするものだ」と強調。「直ちに」ウクライナに新しい武器と装備を送ると述べた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は予算案の成立を受け、「議論と疑念に費やされた半年を取り戻すため、私たちはあらゆることをしていく」と主張。

「この間にロシアの占領者ができたこと、(ロシア大統領のウラジーミル・)プーチンが今計画していることの矛先を反転させ、プーチンに向けなくてはならない」と述べた。

ゼレンスキー氏はこのところ、ロシアが数週間のうちに攻勢をかけることが予想されると警告している。

(英語記事 Ukraine war: US secretly sends long-range missiles to help KyivWar in Ukraine: US to send new aid right away, Biden says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4n1m71zdmko


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