新しい考えに最も理解を示したのは、日本の中級官僚であった。10年後、彼らは昇進し、安倍総理の安全保障担当顧問になった者もいる。
米国では、米国のアジア政策の基礎を同盟関係におくべしとするアジア重視派が新しい考え方に受容的で、現場の外交官たちは及び腰であった。米国のアジア回帰政策は、アジア重視派の考え方をより受け入れられやすくした。
台湾は新しい考え方に今のところ反対しているが、間もなく変わるであろう。誤った政策が、北京が支持しているという理由だけで、永遠に続くはずがない。馬が、対中開放路線によって富と繁栄が得られると約束したことについて、どれだけの人々が今でもそれを信じているであろうか。
スタントンの講演は、価値あるものを達成するには少なくとも10年を要する、という古い格言を証明している。そうであるならば、戦略対話からの成果が表れるのは、そう遠いことではないであろう、と述べています。
* * *
論説が取り上げているスタントンの講演は、米国の国益と地政学的条件を考えて、台湾政策を戦略的に考えるべきだと主張し、米国にとっての台湾防衛の必要性を指摘しています。
二期続いた民進党政権の後、2008年の台湾総統選挙を控えた2006-7年頃は、台湾問題が活発に議論された時代でしたが、総統選挙で国民党の馬英九が勝ち、中台関係の先行きが見えなくなる事態となったので、その後は、誰もが国民党政権の政策の行方を見定めようとする時期に入りました。もし情勢に大きな変化がある可能性があれば、その時の情勢の上に立った戦略を論じても意味がないからです。