2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月6日

 しかし、今となっては、今後の情勢の見通しも大体は見えてきたようです。国民党政権は、そのごく初期には、国民の親日的傾向を抑制しようとして、反日的措置をとったこともありますが、それがたちまちに支持率に影響することを知って、それ以後は親日的態度を維持しています。

 大陸との関係では、政治協定を結ぶことを公約としていましたが、それが世論には甚だしく不評判であることが分かり、その後はもっぱら経済関係の強化に努め、第一期政権では政治協定は実現せず、第二期政権もあと一年余となって、中国側から催促のような発言があっても、容易には動けない状況です。

 つまり、民主主義が機能しているのです。台湾人が現状維持を希望していることが明らかになり、国民党が中国との政治的関係に深入りすれば選挙で不利となることが明らかとなっています。国民党内部でも台湾出身者の発言力が増しています。

 別の言葉で言えば、中国側の武力介入が無い限り、台湾の将来は台湾人が民主的方法で決めるという形が出来てきているのです。そして、そういう見通しの上に立って、将来の戦略を論じることも可能になって来ました。再来年一月または四月の台湾総統選挙を控えて、台湾問題についての戦略論が国際的に再び浮上してくることが予想されます。

 そして、台湾をめぐる戦略論の一つの柱は、論説の言う通り、米日台協力の模索ということになるでしょう。今や、10年前では考えられなかった、日台や米台のFTAなども、堂々と語られるようになっています。米日台協力の機運は確かに高まっていると言ってよいのでしょう。

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