2024年11月22日(金)

world rice

2014年1月10日

 加工食品などの原料になるコメのことを加工用米と呼びますが、米国で最も多く加工用米を使うのは、ビール業界だと言われています。ミズーリ州セントルイスに本社を置く世界的なビールメーカーでは、原料のコメをカリフォルニア米から東南アジア産米に切り替えたことが話題になったこともありました。

日本のコメ農家は
加工用米も生産すべき

 なぜ、日本の加工食品メーカーは、コメ輸出国に進出し、形を変えてコメを輸入したり、現地のコメを使って製造したりするのでしょうか。

 まず、コメ輸出国では、コメ加工業が大きな産業として成り立っています。加工に使われるのは、主に砕米。精米工程で発生する1~2割の砕米を副産物として、安価に流通させているのです。その原料価格の安さが、日本の加工食品メーカーを引き付ける要因のひとつになっています。

 一方、日本では、主食用米が重視されるため、精米の歩留まり率も高く3~5%程度のくず米が発生するものの、市場にはあまり出回りません。12年の国産米では、主食用の生産量は821万トンだったのに対し、加工用はわずか18万トンで、飼料用と同量でした。

 しかし、米菓や酒類、調味料などの原料としてのコメの需要は大きく、大手を中心にコメ加工業が海外に出ている事実があります。加工用米の関税を撤廃し、安価な外国産米を自由に輸入できるようになれば、日本の加工食品メーカーは海外に工場を置くことなく、国内で産業を育成することができるのです。外国産米に頼らずとも、生産量を調整し価格を維持する減反政策を見直して加工用米の流通量を増やし、外国産米と競争できる低価格化を実現させれば、国産米でもコメ加工業の産業の空洞化を防ぐことが可能になるはずです。 

◆WEDGE2013年12月号より










 

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る