2024年4月25日(木)

今月の旅指南

2013年12月27日

 江戸時代、中山道の宿場町として栄えた滋賀県守山市。この地で800年の歴史を持つのが、毎年1月の第2土曜の夜に執り行われる「勝部(かつべ)の火まつり」だ。祭りの舞台となる勝部神社は、大化5(649)年に物部(もののべ)郷の惣社(そうしゃ)として創建された古社。燃え盛る大松明(おおたいまつ)から天を突く炎が上がり、褌(ふんどし)姿の若衆が乱舞する勇壮な火まつりは、地元では新春の訪れを告げる行事となっている。

12基の大松明が燃え上がり、あたりは炎に包まれる


勝部神社宮司の宮本嘉孝さんによると、「伝承では、鎌倉時代、栗太(くりた)と野洲(やす)の郡境にある沼に住む大蛇が、土御門(つちみかど)天皇の病の元凶となっていました。退治に行っても姿を見せず、神社に籠って願掛けをしたところ、50日目に姿を現しました。その大蛇を焼き払ったら、病気が快癒したことにちなみ、大蛇に見立てた大松明を燃やして無病息災を祈願する祭りとなったといわれています」

 祭りの始まりは夕方6時ごろ。太鼓を担ぎながら若衆が町内を練り歩く。その後、大松明が境内に運び込まれる。ハンノキや菜種殻で作られた大松明の長さは約5メートル、総重量は400キロに及ぶというから、運ぶのも20人がかりだ。このころには2000から3000人という参拝客が集まり、祭りの興奮も徐々に高まってくる。


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