2024年11月26日(火)

インサイト霞が関

2009年4月27日

 4月27日に閣議決定され、これから国会での審議が始まる2009年度補正予算案。麻生太郎首相の肝いりの「第4段目」ロケットだが、その中身は、話題が集中するエコ自動車買換え補助金や家電エコポイントだけではない。注目しておくべきは「スクール・ニューディール構想」だ。

 盛り込まれた「スクール・ニュディール構想」の予算額は4,892億円。エコ自動車の3,702億円や、家電エコポイントの2,946億円を上回る規模だ。

補正頼みの学校耐震化

 文部科学省は早くからこの補正予算に何とか食らいつこうとしていた。公立学校の耐震化比率は62%にとどまるが、予算は補正頼みという哀しい実態が続いていたからだ。

 政府は公立小中学校の耐震化に充てる経費として、2008年度2次補正予算に500億円を計上。1次補正でも1,100億円強が盛り込まれた。しかし、09年度当初予算に盛り込まれた公立小中学校の耐震化予算は1,000億円強に過ぎない。

 毎年の概算要求基準(シーリング)でピーク時の5分の1まで削減されている。その後、中国四川省大地震で校舎の倒壊が相次いだため、耐震補強に関する国庫補助率が昨年、3分の1から2分の1に引き上げられたが、予算面では「シーリングの対象外となる補正で必要経費を確保するしかない」(文部科学省幹部)事情があった。

 このため、「子どもの安全を守る学校耐震化はだれもが歓迎する事業。景気対策で補正予算の計上が相次ぐ今が予算増の好機」と意気込む与党議員を巻き込み、「ニューディール」という名前までつけて、予算確保に奔走。学校耐震・エコ改修で2,641億円、学校への地デジ・パソコン配備で2,098億円と、狙い通りの結果を得た。

 この補正予算で、公立小中学校の耐震化は、阪神大震災級の地震で倒壊する危険性の高い校舎(約1万棟)の耐震化は完了。倒壊危険度が1段階軽い校舎(約15,000棟)も、半分程度が耐震化に着手できることとなる。


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