ベテラン経済記者の眼

2013年12月30日

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アメリカ経済の回復と影響

 海外に目を転じると、アメリカ経済は順調に回復する動きをみせている。主要経済指標が好転し、失業率も低下し、堅調に推移している。この結果、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長はこれまで続けてきた異例の金融緩和策の縮小に踏み切った。金融政策を正常な状態へと戻す「出口戦略」の第一歩だ。ただゼロ金利状態は当面続くことから、景気の下支えになるとして、米国の株価は上昇し、ダウ平均は史上最高値を更新し続けている。

 米景気の回復期待を背景に外国為替市場でドル買い圧力が強まる中、気になるのはこれまで米国から世界にあふれ出ていた「緩和マネー」が逆流する副作用だ。12月23日の読売新聞社説が「急激な緩和縮小をきっかけに、新興国からの資金引き揚げが加速し、世界経済を揺るがす事態を避けねばならない」と指摘したように、新興国経済の急変が世界経済のリスク要因にならないかは気になるところだ。

 一方、民間企業の動きでは、コーポレートガバナンス(企業統治)や法令順守の重要性が問われた年でもあった。みずほ銀行が暴力団員への融資を放置していた問題は、いまだに反社会勢力との関係を十分把握できていなかった責任感の欠如が浮き彫りになった。有名ホテルや百貨店の飲食店で食品偽装が長年にわたって横行していたことは、食の安全への信頼や消費者との関係を著しく裏切るものだった。10月24日の毎日新聞社説は「世界的に日本の『おもてなし』が注目を集め、海外からの観光客が増えている時期でもある。各業者は実態を調べ、業界全体としてモラル向上を図ってもらいたい」と批判した。

 2014年に日本経済はどんな歩みをたどるのか。アベノミクスの効果が発揮され、2013年は回復の一年だったともいえるが、4月には消費増税を控えている。デフレの克服もまだまだ道半ばだ。可処分所得の目減りなどの影響で成長が大きく落ち込む可能性はないのか。不透明要素を乗り越えて力強い回復が続くことを期待したい。

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