中国のメディアは最近、安倍政権に対して誹謗中傷と言えるぐらいの強いバッシングを続けている。批判には尖閣領有権を巡って日本が全く妥協する気配がないことへの苛立ちがあろうが、安全保障政策に対しても「右翼の道を疾走」、「軍国主義復活」と弾劾している。こうした批判には特定秘密保護法採択も含まれている。
中国で開かれたシンポジウムで堀之内秀久公使が、「日本の特定秘密保護法案の可決が軍国主義の到来を招く」なら「中国は既に巨大な軍事主義国だ」と反論したが、中国の「保密法」を列挙して反論した様子はない。しかし、中国こそ秘密保全では日本に比べ一日(いちじつ)の長がある秘密主義の国だ。共産党一党支配体制において情報統制は重要。だから部局を設け、政府や党は国民を動員して秘密保全に努めてきた歴史があるのだ。
大学さえも秘密保全が求められる
中国での「保密法」の正式名は「中華人民共和国保守国家秘密法」(1988年9月施行、2010年4月修正)である。秘密保全は国民全員の義務としてずっと求められてきたのだ。「国家秘密の保全は全ての公民の義務である」という有名なフレーズがあるほどだ。
以下では中国で進められる秘密保全について最近のニュース記事をいくつか見ながら中国における秘密保全の現状を紹介しよう。
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【記事】
大学さえも秘密保全が求められ、その担当部門や責任者が置かれているということは日本からは理解しにくいことだろう。もちろん入試や研究開発での情報漏えいに対策が施されるのは不思議ではないが、それを仰々しく秘密保全と称して政府と連携して対策を講じるところが中国的だ。
記事(1)【2013年11月27日(抄訳)】大学の場合
中国海洋大学(山東省青島市)では11月27日に、同校の劉貴聚副書記(規律委員会主任を兼任)が主催する秘密保全会議が開かれ、情報公開を巡る機密の審査について協議が行われた。劉副書記は科研プロジェクトについての情報公開は慎重に対応するよう指示した。教職員の秘密保全意識を高めるために秘密保全指導の強化も訴えた。会議では青島市秘密保全委員会の政策についても紹介された。(この大学には海洋関連の秘密保全を扱う保密学院〔学部〕も2011年に開設された:筆者)