各大学にそれぞれ業務上の秘密はあろうが、大学が政府の秘密保全部門と密接に連携していることは驚きである。大学の秘密保全部門が教育監督省庁の教育部だけでなく、情報管理業務では保密局の指示に依拠していて校内の秘密が単なる部内秘ではなく、「国家機密」となりえることが中国的だからである。
特に重要な軍事機密
機密の中でも軍事機密が最も秘密のベールに包まれていて、秘密保全任務は他の部門とは比べものにならないほど重要だ。「中国人民解放軍保密条例」という軍独自の規定もある。また軍には保密委員会と称する秘密保全を統括する組織が存在し、軍の保密部門を統括する全軍保密委員会は副総参謀長が主任を兼任し、現在は孫建国上将(海軍)が担当している。連隊(団)以上の各部隊にも保密委員会が設けられ、政治担当将校の副政治委員が部門の保密委員会主任を兼任する。
記事(2)【2013年11月26日付 新華網(抄訳)】軍の場合
中央軍事委員会の範長竜副主席(軍の制服トップ、主席は習近平:筆者)は26日の全軍保密工作会議に出席した際に習主席による一連の秘密保全任務についての指示を真剣に実施するよう求めた。情報インターネット時代の求めに合うように一時も弛まず、漏えいさせず、しっかり掌握して秘密保全作業を行い、戦えば勝てるようしなければならない、と強調した。会議は房峰輝総参謀長の司会で行われた。範副主席は、秘密保全の状況は厳しく、任務上での脆弱面を克服し、総合的な秘密保全力の強化を求め、「人による防御」、「技術による防御」、「制度による防御」を進める必要性を強調した。房総参謀長は軍駐屯地周辺の機密防御策を徹底し、機密にかかわる人員の教育を施し、軍機密の安全を守らなければならない、と指摘している。
解放軍とは別の対国内治安維持に動員される武装警察(中国版のSWATといえる:筆者)も軍と同様に厳格な秘密保全が求められるが、IT時代の漏えいを防止すべく様々な措置が講じられているというのが以下の例だ。
記事(3)【2013年11月28日 法制日報(抄訳)】武装警察の場合
武装警察の8714部隊では部隊の管理や兵士たちの日常生活という小さなことから着手して秘密保全任務を執行している。この部隊では9月に兵士が持つ「3G」携帯電話を何もついてないものに換えた。「3G」機能があるとネット接続、QQチャット(中国で大人気の謄訊社によるチャットシステム:筆者)やカメラ、録音等様々な機能を持つため容易に別の人間によってハッキングされやすく、秘密窃取の道具になりかねない。このため部隊では「ネットなし、カメラなし、録音なし」携帯に交換したのである。