2024年12月5日(木)

中国メディアは何を報じているか

2013年12月27日

 また近年、経済や技術の向上とともに軍需産業の発展も注目されるようになっているが、海外にも積極的に武器の売り込みをかけるようになっており、民間のハイテク産業と結びついて「軍民融合」を進めているが、こうした技術協力においてもその秘密保全は重要な課題として取り組まれていることが以下の例から分かるだろう。

記事(4)【2013年12月5日(抄訳)】軍需産業の場合
安徽省の国防工業事務局(弁公室)はこのほど全省の軍需産業部門のコンピュータ及び情報系統の秘密保全管理責任者の研修班など4つの関係幹部の秘密保全任務についての研修プログラムを実施した。この研修授業では、ネットワークの安全管理についての概要の講義や機密に係わるネットワーク管理の方法、設備の管理、データーベースの管理などについての専門知識の講義が行われ、終了試験も実施された。

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【解説】

 中国で秘密保全と言って思い出すのが、今は有名な作家になった辺見庸氏がまだ北京駐在の共同通信の記者として活躍していた時の中国軍によるベトナム侵攻の第一報(1979年2月)だ。このスクープは世界を驚かせ、中国政府に激震をもたらした。軍内部に伝わるよりも先に日本の新聞に出てしまったのである。ところが辺見氏は、その後の5中全会の人事もスクープしたことから秘密保全に関する会議で当時の中央弁公庁の馮文彬副主任は辺見氏を名指しして秘密保全の徹底を訴えたほどであった。

 辺見氏のスクープまで遡らなくてもネット時代の機密漏えいの事例には事欠かない。2009年にはある男性が福建省の義序飛行場で空軍機や施設の撮影をして、写真をネット掲載し、逮捕された。当時水門飛行場が出来る前で軍民両用の飛行場として空軍も利用していたことから男性が空軍機を見かけ、たまたま見かけた軍用機に感動し、写真をネット掲載したばかりに実刑を受けた。庶民でも知りえた情報でも公開し、拡散させた咎で懲役刑を受けたのだ。

地方自治体の末端組織にも設置

 秘密保全に関して中国では単に法律が定められているだけに止まらず、秘密保全担当の党中央保密委員会、国家保密局(一つの機構二つの看板)という機関も設置されている。秘密保全を担当する現在のトップは党中央保密委員会主任を兼任する栗戦書だ。彼は習近平国家主席の秘書役である中共中央弁公庁主任だから党中央事務局トップが秘密保全任務の責任者ということになる。


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