2024年12月12日(木)

生成AI社会

2024年10月28日

生成AIの生成物に著作権を与えるべきか

 著作物の侵害とは別に、生成AIが作った生成物に著作権を与えるか否かも大きなテーマです。2024年時点では、かなり複雑なプロンプトを書いたとしても生成物は著作物として認められていません。

 生成物の利用の可否は、生成AIの提供元によって契約で決められています。ただし著作権がなく、また利用者が好きにできるのであれば、著作権のない生成物がネットにあふれることとなり、クリエイターの経済的困窮につながってしまうでしょう。

 くわえてAI生成物に著作権が認められないのであれば、AI生成物であることをあえていわないケースが増えてくると想定されます。というのは生成AIを使ったといわなければ、かなり強い権利である著作権を主張できてしまうからです。僭称の問題です。

 著作権だけではありません。大学などではアイデアなどの剽窃をしないように厳しくいわれます。文芸や学術、美術、音楽の分野では、頭のなかにあるアイデア自体は、まだ表現になっていないので著作権では守られません。

 作風や画風でも同じです。著作権では守られません。著作権上の問題がないようにAI生成物に変更をくわえたとしても、元の作品のプロットとまったく同じであったり、いっている内容がまったく同じだったりするとしましょう。そうしたときに、本当に自分の表現としてそのまま利用してもよいのでしょうか。

 生成AIは、アイデア出しに使えるといわれることがありますが、出力されるアイデアは、技術的にいって別の表現物に多少なりとも埋め込まれているアイデアなのです。

 研究の分野では、別の研究者が行った独自性のある概念や理論、分析方法については、たとえ引用しなくとも参照を入れることとなっています。

 たとえばすでにほかの人によって行なわれている研究を、自分自身の研究であるかのように自分の言葉ですべて書き直したとします。著作権上の問題はありませんが、研究の分野では糾弾されます。

 もしかすると、すでによく知られた研究を知らずに本当に自分で考えたのかもしれません。ただその場合でも、勉強不足を指摘されるだけでしょう。21世紀であるにもかかわらず自分で地動説を思いついたように述べた研究を考えればよいかと思います。

 テキスト生成AIは、3点ほどの参照元を示すサービスがありますが、画像や動画でも同じように参照を入れるようにすべきではないでしょうか。

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