5日に大統領選と共に投票が行われたアメリカの連邦議会選で、共和党が上院の過半数議席を獲得する見通しとなった。ウェストバージニア州とオハイオ州で新たに議席を得た。
上院(定数100)議員の任期は6年で、議員の3分の1が2年ごとに改選される。そのため今回の改選対象は34人。これまでは、無所属議員を含む民主党会派が51議席、共和党が49議席を保持しており、実質的な過半数は民主党にあった。
しかしウェストヴァージニア州では、民主党から無所属になったジョー・マンチン議員の引退に伴い、共和党の勝利が広く予想されており、同党のジム・ジャスティス候補が勝利した。
オハイオ州では、共和党から立候補した実業家のバーニー・モレノ氏が、2007年から現職の民主党シェロッド・ブラウン議員を破った。
まだ多くの選挙区で開票作業が続いているものの、これで51対49で共和党が過半数となった。
下院でも、いくつかの選挙区で結果が確定していないが、現時点で共和党がリードしている。上院で勝利すれば、同党は政策を実行する上でより大きな影響力を得ることができる。
共和党が下院、上院、そしてホワイトハウスを支配した場合、法案を可決し、大統領の党派的な議題を制定する幅広い権限を持つことになる。
オハイオ州では、ブラウン氏はコロンビアからの移民で元自動車販売王のモレノ氏に敗北すると予測されていた。モレノ氏は、ベテランのブラウン氏について、「オハイオ州にはリベラルすぎる」と批判した。
この選挙戦は、アメリカ史上最も費用のかかった上院選と呼ばれた。
ブラウン氏は支持者に対して、この結果は「失望ではあるが失敗ではない」と述べた。また、「労働者のための戦いを諦めるつもりはないし、皆さんもそうではないと信じている」と付け加えた。
ウェストヴァージニア州の議席も、共和党に転向すると予測されている。引退したマンチン議員は独立する以前、民主党議員と頻繁に衝突していた。
勝利したジャスティス氏も、2017年のトランプ氏陣営の集会で共和党に鞍替えする前は民主党員だった。
テキサス州では、共和党のドナルド・トランプ大統領候補と親しい現職のテッド・クルズ議員が、元アメリカン・フットボール選手のコリン・オールレッド氏からの強力な挑戦を退け、3期目の当選を果たした。
民主党はクルズ氏を打ち負かすために総力を挙げていたが、同党は同州で30年以上、州全体の選挙で勝利を収めていない。
フロリダ州の現職リック・スコット議員(共和党)も、幼少期にエクアドルから移住したデビー・ムカルセル・パウエル元下院議員(民主党)と争ったものの、議席を維持する見通しだ。
勝利演説の中でスコット議員は、共和党が上院の過半数を獲得し、自分は上院院内総務に選出されるだろうと話した。
「フロリダは、この国の共和党の中心地だ」、「ワシントンは、この素晴らしい州で私たちが成し遂げたことから、非常に多くのことを学ぶことができるだろう」と、スコット氏は付け加えた。
一方の民主党は、ジョー・バイデン大統領が上院議員を36年間務めたデラウェア州で議席を維持し、下院4期目のリサ・ブラント・ロチェスター議員が上院選で勝利した。
メリーランド州では、民主党がベン・カーディン議員の引退に伴う空席を維持し、アンジェラ・オルソブルックス氏が、共和党のラリー・ホーガン知事を破った。
ロチェスター氏とオルソブルックス氏は共に、それぞれの州を代表する初の黒人女性上院議員となる。
ニュージャージー州でも、民主党がボブ・メネンデス議員の空席を維持した。メネンデス議員は、政治的便宜を図ってもらう見返りに賄賂を受け取った罪で有罪判決を受けた後、辞職した。アンディー・キム氏(42)は、史上初の韓国系アメリカ人上院議員となる。
カリフォルニア州では、トランプ前大統領に対する弾劾調査を主導したアダム・シフ下院議員が、故ダイアン・ファインスタイン民主党上院議員の議席を維持した。
そのほか、アリゾナ、ペンシルヴェニア、モンタナ、ミシガン、ネバダ、ネブラスカ、ウィスコンシンの各州で、上院の主導権を左右する選挙が行われた。
また、両党とも下院の主導権を争っているが、勢力図は数日後にならないと明らかにならない。下院(定数435)の議員任期は2年で、今回も435人全員が改選対象となる。
下院選挙の大部分は、特定の政党がほぼ確実に当選する「安全区」で行われている。しかし少数ながら激戦州で開票が続く結果によって、首都ワシントンを誰が支配するかが決まる可能性がある。
下院選挙の勢力図を左右する可能性がある中で特に注目されているのは、カリフォルニア、ニューヨーク、ワシントン、メイン、アラスカの各州。
(英語記事 Republicans take control of US Senate after wins in Ohio and West Virginia)