ドイツのオラフ・ショルツ首相は6日、クリスティアン・リントナー財務相を解任した。来年にも連立政権に対する信任投票を行うと発表しており、連立政権に危機が訪れている。
ショルツ氏率いる社会民主党(SPD)は2021年以来、リントナー氏が党首を務める自由民主党(FDP)と緑の党と共に連立政権を形成してきた。3党を象徴する色から、「信号政権」と呼ばれてきた。
今回の動きにより、ショルツ政権は議会で多数派ではなくなった。信任投票の結果によっては、3月までに解散総選挙が行われる可能性もある。
政権内部の緊張は数週間前から高まっていたが、ついに表面化した。
ショルツ氏は発表にあたり、リントナー氏が「私の信頼を裏切った」と発言。同氏が国益よりも党の利益を優先したと指摘した。
また、アメリカで共和党のドナルド・トランプ候補が次期大統領に選出された今、ドイツは他の国々からの信頼に値すると示す必要があると付け加えた。
リントナー氏は、ショルツ氏が「ドイツを不確実な時代に導いている」と非難した。
経済・財政政策で対立
連立政権内の危機を受け、欧州最大の経済大国が政治的混乱に陥った。トランプ次期米大統領の誕生により、欧州経済と安全保障の先行きに大きな不安が生じた数時間後のことだった。
2021年に、中道左派のSPD、環境保護派の緑の党、そして経済自由主義のFDPによる連立政権が発足した際、各政党はそれぞれ、自らの主要な利益団体に多額の支出を行う計画を立てていた。
しかし、2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始したことでエネルギー価格が高騰し、ドイツは防衛費の増加と150万人のウクライナ難民の受け入れ費用に直面することとなった。
ドイツは現在、経済成長のないまま2年目に突入しようとしている。
ショルツ首相と緑の党は、公的債務に関する憲法上の規則を緩和し、歳出を増やすことで、この問題に対処したいと考えている。一方のリントナー氏は、福祉予算と社会保険予算を大幅に削減し、環境目標を先延ばしにすることで、減税の財源を捻出したいと考えている。
緑の党のロベルト・ハーベック経済相は、同党は政府から離脱しないと述べ、自党の閣僚は職務を継続すると話した。
ショルツ氏は、来年1月15日にドイツ連邦議会で信任投票を行うと発表した。
もし不信任となった場合、9月に予定されていた総選挙は行われず、数週間のうちに新たな選挙が実施されることになる。
(英語記事 German coalition on brink after Scholz fires key ministeminister)