ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日夜の米FOXニュースの番組で、ウクライナの主要な軍事支援国であるアメリカが資金援助を打ち切れば、ウクライナは戦争に負けるだろうと述べた。
アメリカのドナルド・トランプ次期大統領は、各地の戦争へのアメリカの関与を終わらせ、代わりに米国民の生活向上のために税金を使うことを公約に、大統領選を戦った。
ロシアとウクライナの戦争については、就任から24時間以内に終結させるとしている。その方法は明言していない。
ゼレンスキー氏はFOXニュースで、「もし(資金援助が)カットされれば、私たちは負けると思う」と発言。
「もちろん私たちはとどまり、戦い、生産もする。だが勝利するには十分ではなく、生き残るにも十分ではないと思う」と述べた。
トランプ氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領に働きかけ、戦争を終わらせることができるのかと問われると、「簡単ではないだろうができるだろう。彼はプーチンより強いからだ」と返答。
「プーチンはアメリカより弱い。米大統領は力、権威、武器を持っており、エネルギー資源の価格を下げることができる」とした。
ゼレンスキー氏はまた、「ヨーロッパの団結を失えば非常に危険だ。最も重要なのはウクライナとアメリカの団結だ」と話した。
アメリカで支援に反対の声
アメリカでは次期政権与党の共和党の党員の多くが、税金をウクライナに投入するのをやめるよう望んでいる。
次期副大統領のJ・D・ヴァンス上院議員は、ウクライナへの武器供与に常々異議を唱え、アメリカにはそのための製造能力がないと主張。今年2月のミュンヘン安全保障会議では、アメリカは政策の重心を東アジアに「転換」しなくてはならず、そのことに欧州は目覚めるべきだと述べた。
こうした思いは多くの有権者も抱いている。米シンクタンクのピュー・リサーチの世論調査では、共和党員の62%が、ロシアと戦うウクライナを支援する責任はアメリカにはないと答えた。
ウクライナは19日、アメリカから供与された長距離ミサイルを初めて、ロシア国内に向けて発射した。アメリカは17日にウクライナに許可していた。
アメリカの国防当局者によると、ジョー・バイデン大統領は、ウクライナに対人地雷を供与することにも同意した。
しかしゼレンスキー氏は、ウクライナは戦場で「非常に困難な時期」を迎えていると述べた。
米シンクタンクの戦争研究所(ISW)によると、ロシア軍は前線で支配地拡大を加速させている。ロシアが今年掌握した土地の面積は、昨年の約6倍となっている。
ISWは、信頼性が確認されたソーシャルメディアの映像や、部隊の動きに関する報告を基に、独自の分析をしている。それによると、ロシア軍は今年これまでに、ウクライナの領土約2700平方キロメートルを占領した。昨年は465平方キロメートルだった。
ウクライナによるロシア西部クルスク州への奇襲侵攻は、ロシア軍がウクライナ軍を押し戻したことで、おぼつかない状況となっている。
FOXニュースの番組でゼレンスキー氏は、先週プーチン氏と電話で話したドイツのオラフ・ショルツ首相に厳しい言葉を投げかけた。
ゼレンスキー氏は、プーチン氏を孤立させれば同氏への圧力が増すとし、同氏との対話は「パンドラの箱」だと述べた。
(英語記事 Zelensky says Ukraine will lose war if US cuts funding