来夏の都議選・参院選で何が起きるのか
すでに本欄に書いた(2024年11月1日「日本の選挙運動は古すぎる!支持を得たネットとリアルの融合、世界でも“特異”な日本、個別訪問もそろそろ解禁を」)が、今でも国会の過半を占める既成政党は、時代の変化へもっと敏感になって選挙制度の改革を進めないと、日本の民主主義の危機が深まるばかりである。
まず来年6月に予定される東京都議選は歴史的に国政の変化を先取りしてきた。衆議院では今年の総選挙で自民・公明が過半数を占める立場を失ったが、都議会では約8年前の都議選で自民・公明はすでに過半数を失っていた。
あのとき、小池百合子都知事は既成政党に対して都政改革を訴えて都民ファーストという地域政党を立ち上げ多くの都民の支持を得た。本年7月の都知事選では小池知事は3選を果たしたが、その後の都議補選では小池知事による街頭演説の応援を得ることができなかった都民ファーストの候補もそれなりに当選している。
11月の荒川区長選でも同じく選挙中に小池知事の応援を得なかった前都議会都民ファースト幹事長が自民・公明の候補に勝っている。来年6月の都議選で都民ファーストが既成政党に対する対抗勢力としての評価を得ることかできるかどうかは、これからの半年間の都議会における都民ファーストの活動が都民にどう見えるかにかかっている。都民ファーストよりさらに新しいグループが都議選に参入してくることが明らかだからである。
来年7月に予定されている参議院選挙では、今年の総選挙で新興勢力と受け取られた国民民主党がさらに伸長するのか、あるいは新たな新興勢力が誕生するのか注目される。そういう状況の中で、国民が不確かに氾濫するネット情報だけでなく政策的な議論が本格的に行われるような選挙制度の改正ができるかどうかという課題があることを忘れてはならない。