2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月5日

 1月19日付フィナンシャルタイムズ紙社説が、アフリカ進出をめぐる日中の競争について、アフリカは日本にとって大きなチャンスであり、それには、日中の競争を声高に叫ばない方がよいであろう、と忠告しています。

 すなわち、日中対立は、今や、遠くアフリカの地にまで及んでいる。安倍総理は、ビジネスと友好親善の強化のため、アフリカの3か国を訪問した。日本の首相がアフリカ大陸に滞在するのは8年ぶりのことであり、安倍総理は、「日本外交の新しいフロンティア」であるとして、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアを訪れた。中国がアフリカに注ぎ込んでいる莫大な資金には敵わないが、日本はアフリカに対する長年の援助国である。6月には、日本政府は、40か国近いアフリカのリーダーを招き、商業的関与を高めるとともに、今後5年間で140億ドルの援助をすることを約束している。

 安倍総理の訪問には、隠された意味があった。スポークスマンの一人は、アフリカに対する日本の取り組みを、中国のそれと比較し、中国のやり方は、搾取的で汚職を助長するのに対して、日本の政策は、アフリカの人的資源を援助することである、と言った。これに対して、中国の外交官は反発し、日本の第二次世界大戦中の残虐行為の写真を掲げることで、「本当の日本」を暴露しようとした。

 こうした論議は、あまり有益ではない。安倍政権のスポークスマンの指摘は一理あるが、中国のアフリカの資源への関心がアフリカにとってプラスとなっていることも事実である。中国企業は、中国人労働者に依存し過ぎているし、北京は、援助から誰が利益を得るかについて良心の咎めなしにアフリカの指導者たちと喜んで取引をしてきたが、中国の関与は多くの利益をもたらしてきた。中国は、無用の長物を造ることもあるが、アフリカのインフラを大いに改善してきた。それは、アフリカの発展にとって不可欠である。中国が登場してくる前の西側の対アフリカ関与は、ほとんど模範にならないし、日本の援助も、日本企業の利益と結びつき過ぎていることが多々あり、批判の余地があった。

 しかし、そういう論争は別として、日本の新たな取り組みは、安倍総理がインド、インドネシア、ベトナムなどで推進している外交的および商業的努力に匹敵するような、大きな成果を得ることが出来よう。アフリカは、日本が友好国と商業的機会を求める上で、助けとなりうる。日本は、とりわけ、福島原発事故後の原発停止を受け、エネルギー供給源の多様化を必要としている。レアアースの新しい供給源も必要である。アフリカは、産業用、消費者用、双方の日本製品にとっての市場を提供し得る。アフリカは、日本が国際社会における建設的なメンバーであり、中国が言うような軍事的脅威ではない、ということを示そうとしている安倍総理の努力にとっても有用であり得る。日本は、国連平和維持軍の一部として、既に、南スーダンに400人の自衛隊員を派遣している。


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