10月26日号の英エコノミスト誌は、中国のアフリカ進出が注目されているが、インドも中国に引けを取っていない、と報じています。
すなわち、アフリカでは20世紀末前後から大挙して到来した中国人の存在感が大きいが、元々アフリカには20世紀初頭に鉄道建設や商売のためにインドからきた人々の子孫が大勢いる。加えて、インドの新たなアフリカ進出も始まっており、10年前に50億ドル以下だったインド=アフリカの貿易額は今日700億ドルに急成長している。
この新しい波を牽引しているのは、Bharti Enterprises、Essarなどのインドの巨大企業で、例えば2010年にBharti社がアフリカ全土をカバーする携帯電話ネットワークを買収したように、貿易よりも投資に重点を移し始めている。
もちろん、国営企業もこの波に参入し、8月にはインド国営石油会社がモザンビークのオフショア油田の10%を買収した。中国と同様、インドも急成長する自国経済のためにエネルギーや原料確保に懸命なのだ。
また、インドは農業にも力を入れており、エチオピアでは農業開発に10億ドル以上を投資し、ケニヤでは、バンガロールを本拠とする世界最大の切花生産会社、Karuturi Globalのバラ園が5000人を雇用している。
アフリカ最大の人口を有し、消費需要が拡大しているナイジェリアも重要拠点で、そこではインドのエネルギー会社が電力事業に入札しようとしている。また、同国最大の医薬品供給者はインドの製薬会社だ。
アフリカは様々な意味で、インドが今後海外でどう振舞うかを占うテスト・ケースと言える。特に、米国と中国は、民主国家ということでインドがアフリカでどの程度権威と正当性を享受できるのかに注目している。
ただ、政治の自由化に努めるようになるのかと言えば、現状では、インドは、多額の貿易金融の提供、多数の大使館の開設、指導者たちとの密な接触、大規模な地域サミットの開催、南の国同士の協力の意義の強調等、中国の投資手法を踏襲している。また、大半のインド企業は独力でアフリカに進出するが、最近はインド政府の支援を当てにできるようになってきた。