2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月6日

 2月11-14日に台湾の王郁琦大陸委員会主任(閣僚級)が訪中して、初の中台閣僚級会談が行われましたが、この会談の実施が発表された際に、台湾と中国の間の対話・協議については、台湾側立法院(議会)がその動向をより詳細に監視し、情報を広く国民に知らせるべきである、と1月16日付台北タイムズ社説が述べています。

 すなわち、台湾の立法院は、台湾行政院大陸委員会主任(王郁琦)の中国訪問に関し、次のような決議を採択した。それは王が訪中して、中国側の国務院台湾弁公室主任(張志軍)と会談する際に、してはならないとする禁止事項である。

1)台湾の主権を損なう恐れのある声明を発出したり、そのための交渉を行ってはならない。その中には、「一つの中国の枠組み」に賛成したり、台湾独立に反対するという類のことが含まれる。

2)特に、「一つの中国」、「一つの中国の枠組み」、「一つの中国、二つの地域」、軍事に関する相互信頼措置、和平協定、政治関係の緊密化をもたらす合意などを中国側と話しあってはならない。

 これまでの国民党政権下の5年間に、台湾当局は既成事実をどんどん積み重ねてきたが、一般市民は一体何が中台間で行われているのか質問する機会も与えられていない。中台間のECFA(経済協力枠組み協定)が締結されてから、台湾の主権は徐々に弱まり、台湾経済は中国市場に縛られ、その結果、産業、技術、労働力、資本が大量に中国に流れた。いま政府はサービス貿易協定を推進しようとしているが、これは台湾への中国からの浸透力をさらに強めることとなろう。

 このような状況は信頼の危機を生み出し、誰もが政府の両岸関係の扱い方に強い懸念を抱いている。これが、王主任の訪中前に立法院がはっきりと一線を引いた理由である。

 立法院が黙っていれば、王は中国に対し、本年末の地方選挙で国民党が勝てるように手助けしてほしいと懇願する可能性がある。さらには、馬英九と習近平が会談を行えるように下手に出て譲歩する可能性がある。


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