水がどのように供給されているのかを現地で聞いてみた。飲み水については首都のマーレからミネラルウォーターで供給されているようだが、シャワーなどの水は井戸水を利用する。ところが小さな島国であるから、井戸を掘っても海水しか湧き上がらない。モルディブの水道水は、雨水をろ過したものや海水を脱塩したものが一般的であるが、大きな島の場合は、海水淡水化装置が導入されていた。
ペットボトルの水が3、4ドルするので島内の住民も苦労しているはずだ(撮影・筆者)
すでに日本の大手の海水淡水化メーカーがモルディブ市場に装置を供給しているが、今後はさらに大型の本格的な海水淡水化装置を導入することになるだろう。実はこれらの装置には腐食に強い日本のチタンを大量に使用するのだ。
現在の海水淡水化装置は太陽光発電や波力発電を利用して深層水をくみ上げ、逆浸透膜を利用した設備を設置して海水を淡水化するプロジェクトになっている。日本の技術で再生可能エネルギーと海水淡水化装置をモルディブ以外にも出荷すれば、日本のチタン産業も世界中の島嶼に貢献できるというものだ。
1月には、東邦チタニウムがサウジアラビアにスポンジチタン工場を合弁で設立すると発表した。これは大変な話で、アラブ全域の海水淡水化装置や化学プラントを意識した合弁だ。日本のチタン産業がグローバルシフトを敷いたということでもある。モルディブ以外に水ビジネスが期待できる島は山ほどある。趣味と実益を兼ねてセーシェル、キリバス、ナウル、ツバル、バヌアツ、フィジー、トンガ、パラオ、タヒチ島やカリブの島々にも行ってみたい。
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