ホイアンやニャチャンといった沿岸都市で大きな被害が出た
ヴェトナム中部で先週末から続いている豪雨と洪水で、20日までに少なくとも41人が死亡した。国営メディアが報じた。また、行方不明となっている9人の捜索が続いた。
報道によると、この豪雨で5万2000戸以上の住宅が水没し、50万世帯と事業所が停電している。
過去3日間の降水量は複数の地域で1500ミリを超え、一部では1993年の洪水時のピークである5200ミリを上回った。
最も被害が大きいのは、ホイアンやニャチャンなどの沿岸都市と、コーヒー生産の重要な拠点である中部の高原。この地域ではすでに、以前の水害によって収穫が停滞しており、生産者が大きな痛手を受けている。
ヴェトナムはここ数カ月、異常気象に見舞われている。9月末の台風20号(ブアローイ)と11月初めの台風25号(カルマエギ)が、多くの死者と破壊の痕跡を残した。
政府の推計によると、今年1月から10月までに同国で発生した自然災害による被害額は、20億ドル(約3100億円)に上る。
現地メディアが公開した写真には、洪水が家屋に迫る中、屋根に取り残された人々の姿が写っている。また、インターネット上で拡散している動画には、ラムドン省でつり橋が固定具から引きちぎれる様子が映っている。
同省は、地滑りで主要道路や幹線道路が損壊したことを受け、非常事態を宣言した。
AFP通信によると、人気観光地ダラットへの主要な進入路であるミモザ峠の一部が崩落し、交通は完全に停止した。生じた裂け目にバスが落ちそうになったが、寸前で回避したという。
洪水の被害を受けた地域全体で、数万人の住民が避難している。軍隊と警察が、緊急避難所を設置するために派遣された。
ニャチャンでレストランを経営するブイ・クオック・ヴィン氏は、AFP通信に対し、店舗が約1メートルの水に漬かったと語った。
「レストランや店舗の家具が心配だが、もちろん今は何もできない」
「雨がやんでいないので、水がすぐに引くとは思えない」
当局は、最も短くとも23日までは、ベトナム中部で中~強程度の降雨が続くと警告している。
